表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/113

対照的な結果

「そろそろ潮時なんじゃないかしら? 両我(りょうが)?」


 苦戦する両我の目の前に現れると(ひつぎ)は、共に降りて来た五奇(いつき)空飛(あきひ)に向けて声をかける。


「ワタシ達の力を見せてあげるわね? 行って! 無偶羅将鬼(むぐうらしょうき)!」


 彼女の声に答えるように、無偶羅将鬼は突風を切って進んで行く。すると両我が、


(わたし)の邪魔をするでないわ! 鬼ども、行け! 行くのだ!!」


 命令を受けた雷狼応鬼(らいろうのおうき)氷狼轟鬼(ひろうのごうき)は、無偶羅将鬼と競い合うように、合体した人造妖魔に向かって行く。鬼達同士で殴り合い、邪魔をしながら向かって行く姿は、もはや三つ巴の喧嘩だ。

 この状況に、五奇と空飛はどうしたらいいのかわからない。


「ど、どういたしましょうか? 五奇さん。このままですと、ろくなことにならないかと思われます。はい」


 空飛が耳元で訊いてくる。五奇は少し考えた後、


「あの鬼達の勢いがね……。生身の俺達が入っていける気がしないし……。うーん……?」


 その時、五奇はあることに気が付いた。


「あれ? あの人造妖魔ってもしかして……? 空飛君、行けるかもしれない!」


「……はい?」


 話が見えない空飛に耳打ちをすると、二人は頷き合いこっそりと移動する。そのことに気づかない両我と柩は、言い争いをしていた。


「ちょっと、足を引っ張らないでくれる?」


「お前の方こそ! 鬼ども! 鬼憑きごと蹴散らせ!」


 両我の命令に健気に従う二体の鬼達。それを見た柩が両我を軽蔑した目で見つめる。


「そうやって、また鬼達を酷使する。だから嫌いなのよ、貴方。無偶羅将鬼、行くわよ。無偶氷雨破砕破(むぐうひさめはさいは)


 唱えた瞬間、無偶羅将鬼の両腕から氷の刃が生成され、雷狼応鬼と氷狼轟鬼、両我すらも巻き込んでその刃が振り下ろされた。


「うぉぉぉぉ!? (わたし)ごと巻き込むとは何事だ!」


 鬼達により張られた結界の中で両我が咎めれば、柩は冷たく言い放つ。


「あら? 言ったでしょ? 嫌いだって」


「好みで生き死にを決めるな! もういい、遠慮はせん! お前ごと……!」


 そう両我が言った瞬間だった。


「せーの、いっけぇぇ! 伍銘(ごめい)封魔刃(ふうまじん)!」


黒曜抜刀術こくようばっとうじゅつ零閃華(れいせんか)!」


 五奇と空飛が同時に人造妖魔の背後、死角になっていた木と木の間から出てきて技を放つ。五奇はその名の通り妖魔の力を一時的に封じる技を、空飛は飛ぶ斬撃を。二人の攻撃は見事に当たり、人造妖魔はその場に崩れ落ちた。


「よし! 決まった! 空飛君!」


「はいでございます!」


 二人がハイタッチを決めると、両我と柩は言葉を失い、その場に立ち尽くした。


「嘘。倒しちゃった……協力して……?」


「な! 手柄を横取りするとは! Eチームのクセに小癪な!!」


 関心したような柩とは対照的な両我の言葉に、五奇と空飛は苦笑いを浮かべる。


「あはは……どうしようか、空飛君」


「どういたしましょうねぇ……五奇さん」


 拍手をする柩と無偶羅将鬼、頭を抱えて悔しそうに呻く両我の声が周囲に木霊した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ