表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/113

もう一方では

 五奇(いつき)空飛(あきひ)が四苦八苦していた頃。

 等依(とうい)鬼神(おにがみ)もまた、困惑していた。


「君達は、両我(りょうが)(ひつぎ)と違って仲が良いのだな! あの二人を見ていたから、てっきり蒼主院(そうじゅいん)家と鬼神家はそういう、なにか因果関係があるのだろうか!?」


 後半、ただの疑問形になっている灰児(はいじ)のペースに、等依がもはや諦めたように答える。


「あー……? オレちゃんはそんなにスけど、代々()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とか言うっスねー?」


「そうなのか! 不思議だ! 君は両我と随分と雰囲気が違うが、理由があるのか!?」


「いや……これは、その? べっつにー?」


 等依の答えがどんどん適当になっていくので、さすがに輝也(てるや)が止めに入った。


「……おい。あまり質問しすぎるな……」


「しかし! 気になるものは気になるのだ! 輝也よ、許せ!」


 二人のやり取りに、鬼神が口を挟む。


「輝也……? てめぇら、下の名前で呼び合うような仲なのかよ? だったらなんで、柩と蒼主院の野郎を止めねぇんだ!?」


 両我と柩についてどこか責めるような彼女の口調にも、灰児はマイペースに見当違いな答えを返す。


「私と輝也は、トクタイ入隊前に妖魔竜(ようまりゅう)ゼルギウス討伐を行った仲ではある! だが、共に競い合うライバルのようなものでな! あ、ちなみにそのゼルギウスを素材に造られたのがこの妖魔剣(ようまけん)ゼルギウスさ!」


 いきなり背中に背負っていた大剣を抜く灰児に、等依が珍しく苦情を呈す。


「あのー盛り上がってるところ悪いんスけど……さっさと倒しに行かないっスか?」


「つーか、結局俺様の質問に答えてねぇじゃねーか! クソ野郎が! おい、等依! こんなアホ共置いてこうぜ!?」


 本当に灰児と輝也を置いて行こうとする鬼神に、輝也が声をかける。


「……君、最近鬼を制御できるようになったばかりで技も奥義も使えないじゃないか……」


「……よく知ってんじゃねぇか……クソが!」


 吐き捨てる彼女に向かって、灰児が首を傾げる。


「む? 鬼神家は代々鬼憑きだから、そういう訓練もしていると由毬(ゆまり)様から聞いているのだが! 君はなぜそうしない?」


「痛いとこばっか突いてくんじゃねーよ! このボケが! 空飛の方がまだ空気読めるぞ! いいか! 俺様の百戦獄鬼(ひゃくせんごくき)は力極振りで、昔からそれどころじゃなかったんだよ! ちきしょー!!」


「そうなのか! それは失礼した! 詫びと言ってはなんだが、今! ここで! 私の知るかぎりの鬼憑きの技について教えよう! うむ! そうした方が効率的だ!」


 あっさりと、とんでもないことを言い出す灰児に輝也は額に手をやり、等依と鬼神は顔を見合わせ同時に声を上げた。


「はぁ!?」


「あ、頭沸いてんのか、てめぇ!」


「む? なにかおかしいか? すまないが私はそういうのに疎いのだ! 赦せ!」


 どこまでもマイペースな灰児に、等依と鬼神は今日何度目かわからないため息を吐いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ