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それぞれの課題

「では、AチームとEチームでそれぞれ混合パーティを組んで、逃げ出した人造妖魔の討伐を頼みたいんだ! いいだろう?」


 ルッツがそう訊けば、教官達と祓神(ふつかみ)二柱を除いた八人に、強引にくじを渡す。


「んだよ? これ? 俺様は……」


「礼儀知らずな娘だな! このお(かた)を誰だと心得ているのだ! いや、知らぬのも仕方ないか! あ、(わたし)は教えんぞ?」


 文句を言おうとする鬼神(おにがみ)に対し、両我(りょうが)が口を挟む。

 その様子を普段なら諫める等依(とうい)は微妙な表情で見つめているし、他のAチームの者達は興味がないのか、渡されたくじを見つめている。

 状況がつかめないだけに、五奇(いつき)空飛(あきひ)も黙るしかなかった。


「よしよし! さぁ、さっさと始めようじゃないか!」


 まるで何事もないかのように、ルッツはさっさと話を進めてしまった。


 ****


『逃げ出した人造妖魔は合計四体。全部倒して構わないよ!』


 ルッツのおおざっぱすぎる指示のもと、くじで決まった組み分けで山の中を進む。くじわけの結果、五奇、空飛、両我、(ひつぎ)の四人と、灰児(はいじ)輝也(てるや)、等依、鬼神の四人という編成になった。


(それにしても……なんなんだ? この二人というか、蒼主院(そうじゅいん)家と鬼神家って……?)


 五奇はそう思いながら、前を歩く両我と柩を見つめていると、視線に気づいたらく振り返った両我と目があった。

 ネイビーの髪色に青と緑のメッシュに眼鏡。鋭い目つきが余計に威圧されている感じがして、五奇は両我から視線をずらす。


「おい、(わたし)を見てどうした? もしや、蒼主院家次期当主に恐れおののいたか? いいだろう! 気分がいいから教えてやろう、五十土(いかづち)よ! (わたし)こそは蒼主院家()()()()()()()にして最高の退魔師になる男! 蒼主院両我である!」


 誇らしげな両我の様子に五奇がどう答えようか悩んでいると、空飛が右手をあげる。


「あの、両我さん? 五番目の妻というのは一体どういう意味なのでございましょう?」


「そのまんまの意味だが?」


 意味がわからず、五奇と空飛は顔を見合わせる。それを見た両我が額に手を当てると、


「全く、世間知らずな田舎者だな!」


「……世間知らずなのはどっちかしらね?」


 口を挟んだ柩に対し、両我が目を見開いた。


「なんだと柩! "鬼憑き"のくせに偉そうに口答えするのか!?」


「あら? 喧嘩なら買うわよ? だって……ワタシの将鬼(しょうき)の方が、貴方の鬼達より強いもの」


 一触即発の雰囲気を醸し出す二人に、五奇がとうとう声を荒げた。


「ちょっと! こんなところでやめてくださいよ! 人造妖魔の討伐が最優先でしょう!」


「そ、そうでございますよ! 色々と困ります! はい!」


 さすがの空飛も止めに入ると、両我と柩は一気に互いへの興味を失ったかのように距離を取り、黙ってしまった。


 ****


「おい、貴様。わざとなのはいいが、本当に収集つくのだろうな?」


 八人が討伐へと向かってから、ずっと黙っていた齋藤が口を開くと、ルッツが微笑みながら答える。


「大丈夫さ。彼らにはそれぞれの課題がある。それに向き合ってもらおうと思ってね? ほら、Eチームはチームワークは悪くない。けど、戦闘力に難がある。そして、Aチームは個々の戦闘力こそ高いが、()()()()()()()()()()()。そこをうまく、互いに学んでほしいのさ? ねぇ、由毬(ゆまり)?」


 話を振られた由毬は、煙管(きせる)を咥えようとしていた手を止めた。


「そうねぇ……。そうかも、ねぇ?」


「全く、貴様らという奴は……!」


 ぼやく齋藤と呑気なルッツと由毬を、少し遠くの方で辰智(たつち)(みぎわ)が優しい目で見つめていた。

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