訪問者
五奇達が無知性妖魔退治及び李殺道と戦ってから四日が経過した。その間、ずっと空飛は等依の部屋に泊まらせてもらっている。
等依本人は諦めているため何も言わないが、鬼神が苦言を呈する回数が増えてきていた。今日も、
「おい空飛! てめぇ、洗濯物また溜めてねぇだろうな!?」
「うっ……なぜそれをごぞんじで……? い、今すぐ持ってまいりますので!」
こんなやり取りが頻繁で、もはや親子の会話だ。
「よーし、オレちゃんはちょっち洗車してくるっス~」
(って……これじゃあ、休日のお父ちゃん感パねぇっスね……)
内心で自身に突っ込みを入れながら、等依は車庫に向かった。
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(まだまだ退院は先か……。長いなぁ)
本を読むことしかやることがない五奇が水を飲もうとした時、病室の扉がノックされた。
「はい?」
検診の時間には早すぎるし、今日はEチームのメンバーの面会予定もなかったはずだ。警戒心を強めながらもう一度声を上げようとしたが、聞きなれない男の声に遮られた。
「貴方に用事があって来たのだが、入ってもよろしいかな?」
「えっと……?」
更に困惑していると、別の男の声が聞こえてきた。
「……用があるなら、こちらから名乗るのが礼儀ではないか?」
「おっと! 指摘感謝するよ! 私はそういうものに疎いから大変助かる! 五十土よ。どうか、我々にご協力願えないか? いや、その前に無礼すまなかった!」
聞きなれない声の片方がそう言って言葉を切ると、一呼吸置いて話を続けた。
「私は名を愛原灰児と言う! もう一人が神禊輝也。共にAチームに所属している! そして、改めて頼もう! ご協力願いたい!」
灰児の勢いと、病室の外で言われていることに羞恥心を覚えた五奇は仕方なく中に入ってもらうことにした。
病室内に入って来たのは、灰色の髪に青い瞳をした眉目秀麗な少年と、黒髪に金と青のオッドアイの背の高い少年だった。
(あ、圧が凄い! 容姿もだけど……なんか、こう……キラキラしている感じ!)
色々な意味で負けそうな五奇に気づくことなく、灰児が明るい声でハキハキと近寄って来る。
「協力、感謝する! 五十土、貴方はイイ男だな!」
そう言って五奇の手を取り、顔を寄せてきた。
(ちっか! 距離感!)
それを見ていた輝也が灰児の両肩を掴み引き離す。
「……やめてやれ。病人だ」
そのことに深く感謝しながら、五奇は用件を訊く。
「それで、俺に協力してほしいことって?」
「うむ! 実はな! 李殺道について訊きたいのだ!」




