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落零〈rakurei〉~おちこぼれ達の退魔伝~  作者: 河内三比呂
第一章 初めての任務編
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各自の想い

 五奇(いつき)の病室を出た鬼神(おにがみ)は、ロビーで笑い転げている空飛(あきひ)を蹴り飛ばし、頭に手を乗せている等依(とうい)と視線を合わせる。


「おい、等依。()()()()()()()()()()()()()? アホはほっとけ」


 鬼神にそう言われ、等依は苦笑いを浮かべる。

 実を言うと、無知性妖魔を封印する際、帰りの状況などを考慮して等依がメインで祓力(ふつりょく)を使い、封印を施したのだ。故に、力をかなり消耗した等依の体調はあまり良くはない。


「にゃはは~、ありがとうね~ん。でも、鬼神ちゃんもっしょ? 鬼の制御に成功したっちゅーことは、相当消費したんじゃないっスか? 祓力」


 そう逆に訊き返された鬼神は、


「……五奇達に比べりゃマシだ。けっこう寝たしな」


「あー……。まぁそうっスね。五奇ちゃんといい鬼神ちゃんといい。李殺道(りつーうぇい)? にボロボロにされたっしょ。割と(おこ)っスよ? オレちゃん」


 そう言うと等依は、「五奇ちゃんの着替え取って来るっス~」と言って病院から出て行ってしまった。その後ろ姿を見つめていると、ようやく笑いが納まったらしい空飛がやって来る。


「おや? 等依さんはどこかに行かれたのでございますか?」


「……五奇の服取りに行った」


 鬼神の回答に満足したらしい。空飛は自販機の方向へと向かって行ってしまった。一人残された鬼神は、少し迷ってから、家に戻ることにした。


 ****


「はぁ……」


 病室で寝転がっていた五奇は、深いため息を吐いた。身体が痛むのもあるが、それよりも、全く歯が立たなかったことが辛い。


「アイツ……。報告書で読んだけど、李殺道か。めちゃくちゃ強かった……。手加減されて、これかよっ!!」


 思わず声を荒げても、室内には五奇一人だ。もう一度ため息を吐いて、身体の向きを変えるとあのぬいぐるみが目に入る。


「マジでこれ、なんなんだよ……。女子のセンスはわかんないなぁ」


 そう言ってぬいぐるみに触れれば、嫌でも鬼神のことを思い出す。


「……」


(別に? いい匂いがしたとか、思ったより柔らかい身体とか? 思って……思ってるけど! しょうがないじゃないか!)


 まさか彼女が自分を膝枕をするとは思っていなかった。それどころか、


(しかも名前呼びとかさ! なんだよ!? 今までマトモに呼ばなかったのにさ!)


 予想外の出来事すぎて、混乱してしまう。なんとか思考を切り替えようと、別のことを必死に考え出す。


「えっと、えっと。あ! そういえば、鬼神さんは百戦獄鬼(ひゃくせんごくき)の制御できるようになってたな……。これで、等依先輩達みたいに上手く付き合って……あれ?」


 そこでようやく五奇は気づいた。


「等依先輩の鬼達と、鬼神さんの鬼って……どう違うんだ?」

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