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落零〈rakurei〉~おちこぼれ達の退魔伝~  作者: 河内三比呂
第一章 初めての任務編
34/113

初任務完了と

 『爆炎の妖魔』をなんとか倒すことに成功した五奇(いつき)達は、疲れを癒すべく、報告書をまとめる前に休憩することにした。


「……しんど……」


 開口一番、そう言って待機室にあるソファーへ等依(とうい)がダイブする。そんな彼に、鬼神(おにがみ)が渋い顔で、


「おい……だらしねぇだろうが!」


 そういうと、乱暴に近くの椅子に座ると腕を組んで、睨みつけた。


「んで? 今回はあのセンコーのでなんとかなったが、これからどうすんだよ? 何度も同じ手が通じるとは思えねぇぞ?」


「それを鬼神さんが言うのでございますか?」


 空飛(あきひ)が言えば、鬼神の表情が一層険しくなる。


「あ……も、申し訳ございませんでした!」


 余計な一言だったことに気づいた空飛が謝れば、鬼神はそっぽを向いてしまう。その様子に、五奇は苦笑いを浮かべながら、


「あははは……まぁでも、今後の事を考えるのは確かに大事だし、それに……乱入して来た彼のこともあるし……」


 全員が沈黙する。結局、あの赤髪の青年は再び現れることなく、何者だったのかわからずじまいだ。


「……ナイス武器な彼、結局どーしたんスかね~?」


 ソファーから上半身だけ起こした等依がそう訊けば、五奇が顎に手を置いて考えながら答える。


「んー? 『爆炎の妖魔』みたいに、強者を求めているわけでもなさそうでしたね……確かに、なんだったんだろう?」


「なもん、考えたってしゃあねーだろうが……」


 拳を握りしめながら、力なく言う彼女に五奇が尋ねる。


百戦獄鬼(ひゃくせんごくき)の制御のこと、だよね?」


「……そうだよ。わりぃか……!」


「いや、悪いとかの問題じゃないけど……」


 それっきり、二人の会話が続かない。しばらくして、黙っていた空飛が手を上げて、


「あの……僕も黒曜の力を制御した方が良いかも……なんて思ったりしたのでございますが……」


 一呼吸おいて、三人が見守る中こう告げた。


「実は僕も、どうやったら制御が可能なのか、わからないのでございます。はい」


 ****


 休憩を終え、四人が報告書を提出して帰宅できたのは、昼頃だった。休んだとはいえ、初めての実戦。精神的な疲れも残ったため、各々自室へと戻っていく。そんな中で、鬼神が五奇に向かって珍しく声をかけてきた。


「……おい」


「えっ? なに、かな?」


 おそるおそる五奇が訊けば、彼女は顔を伏せたまま、静かな口調でこう告げた。


「ちょっとツラ貸せや……」


 物騒な物言いとは裏腹な沈んだ声が五奇の耳にやけに残った。

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