捜索開始
昨日の戦闘結果を踏まえた四人は、今度は一緒に『爆炎の妖魔』を捜索することにし、再び夜の黒樹市内を歩きまわることにした。
「んで? 見つけ出したとしてどーすんだよ? ……俺様達でどうこうできる相手じゃねーだろ……」
鬼神の言葉に三人は黙るしかない。本部から出る前に話し合ってはみたものの、結論として「今の自分達では勝てない」という答えしか出せなかった。だが、それでも任務は果たさなければならない。
「五奇ちゃん、反応あったりしないっスか?」
等依が訊けば、五奇が輪音の反応を見ながら答える。
「うーん、今のところは無い、ですかね?」
それを聞いた空飛が口を挟んだ。
「もうこの町から出て行ってしまった可能性はないのでございましょうか? 強者を求めるものが何日も同じ所に留まるというのは……その、大変申し上げにくいのですが……考えにくいかと……」
確かに彼の言う通り考えにくいが、等依がそれを否定した。
「んにゃー? オレちゃん的に言えば、ナイス武器の彼と戦ってーんで、勝負ついてないわけっしょ? なら、決着つけたくなるんじゃないっスかね~」
「あー? 言われてみれば、それもそうですね」
等依の意見に同意すると、五奇は探知に気合を入れる。祓力を込め直し、索敵範囲を広げれば、しばらくして輪音の鈴が鳴った。
「あ、鳴りました! うーんと、この感じだと……記念公園の中かな?」
五奇が先頭となり、記念公園の中へと四人は入って行く。この公園は池やバーベキュー会場なども設営されているほどの広さがあり、日中は家族連れなどで賑わっているのだが、夜であることと人避けを使っているため、人気は全くなかった。
「おい、チャラ男! こういう時こそ、式神だろうが!」
怒鳴るように鬼神が等依に話を振れば、
「はいは~い、今出すからちょいおっまち~」
彼は簡易式神を呼び出し、公園内に放った。数多の式神達は四方八方へと飛んで行く。
「思ったのでございますが、五奇さんと等依さんの能力、便利過ぎないでございましょうか?」
関心した声で空飛が言えば、鬼神が不貞腐れたように舌打ちをし、吐き捨てた。
「……悪かったな、役立たずでよ! クソが!」
そんな彼女に対し、五奇はどう声をかけていいかわからない。空飛と等依も同じだったらしく、言葉が出ない様子で、それが更に鬼神の神経に触ったらしい、彼女がもう一度舌打ちをした時だった。
「随分と悠長だねー。先生的には『そういう時こそチームワークが!』とか言うべきなんだろうねぇ」
闇夜に紛れて響いてきた声に、四人が辺りを警戒すれば、木の陰から人が現れた。
「ルッツ先生!?」
そこにいたのは、五奇の師であるルッツだった。突然の再会に五奇が戸惑っていると、ルッツは優しく四人に向けて声をかけた。
「なぁに、身構えないでおくれよ。ただの、先輩兼先生からのほんの少しのアドバイスを、ね?」




