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落零〈rakurei〉~おちこぼれ達の退魔伝~  作者: 河内三比呂
第一章 初めての任務編
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初めての任務

 あれから一週間が経った。その間、特にいつもと変わらず日々が過ぎて行った。


(解決出来ていない問題も、そのままなんだよなぁ……)


 たまごサンドを食べながら、五奇(いつき)はそんなことを考えていた。今日はいつもより珍しく遅くに起きたためかリビングに等依(とうい)空飛(あきひ)鬼神(おにがみ)の姿はなく、各々自室にいるようだった。

 久々の静かなリビングでのんびりくつろぐ。今日は更に珍しい事に集合が午後からなのだ。


(結局、鬼神さんの鬼の制御は出来ずじまいだしなぁ)


 あの後も、彼女の鬼である百戦獄鬼(ひゃくせんごくき)の制御は上手く行かず、どう暴走させないかが課題になっているのだが。


(このままだと、チームとして成立しないし……。でもなぁ……)


 頭を悩ませながら食べる食事ほど、美味しくないものもない。そう思い直した五奇は、無心で食事を摂ることにした。


「ふぅ。ごちそうさまでした」


 食べ終わった五奇は時計を確認して、時間がまだあるため自室へと戻って行った。


 ****


 その頃。

 自室にて鬼神はベッドに寝転がっていた。その表情にはいつも五奇達に見せている強気さはなく、ただのか弱い一人の少女そのものだった。


「ちきしょう……」


 そう彼女はぼやく。自分でも本当はわかっているのだ。心がとてつもなく弱いということに。


(あの時、俺様……乙女が百戦獄鬼を……百鬼(びゃっき)を拒否したから? だから言うことを聞いてくれねぇのか……?)


 心当たりはある。だが、勇気が出ない。そんな紋々とした思いを抱えながら、彼女はいつも一緒に寝ているぬいぐるみを抱きしめる。その目には涙が浮かんでいた。


 ****


「全員揃ったな? 時間通りだ、いいだろう! さて、今日の召集が午後だったのには理由がある! 貴様らには、初めての任務を実行してもらう!」


 齋藤の言葉で、一気に緊張が走る。


「どうした? いつまで訓練で満足しているつもりだ? 貴様らはすでにトクタイの所属! 任務を果たさずして存在意義などないと知れ! では、概要を説明する!」


 有無を言わさない迫力に、四人は静かに頷くしかない。齋藤が任務について話し始めた。


「今回貴様らに課せられた任務は二つ! 一つは、最近この近辺を騒がせている『爆炎の妖魔』についての調査! そして一つは『その妖魔の討伐』である!」


 空飛が手を上げて訊く。


「あの教官! 『爆炎の妖魔』というのは一体何者なのでございましょうか?」


 その言葉に、齋藤が勢いよく答える。


「良い質問だ、夜明(よあけ)空飛よ。今から渡す資料に目を通せ!」


 そう言われ、資料が四人に手渡された。そこには『爆炎の妖魔』についての概要と被害報告が書かれていた。


 資料によると、自身を『爆炎の妖魔』と名乗る黒人の男が黒樹市内に出現し、通り魔的に民間人を襲い、死者が出ているとのことだ。

 その妖魔の特性は、現在確認されいているかぎりだと『夜間に活動』し、『被害者は全員焼けている』という。


「貴様ら、資料は読み終わったな? よし、ならばすぐにでも任務についてもらう! 行ってこい!」


 待機室から四人は出て行く。いよいよ、実戦だ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 大きな課題が残ったままの実戦...! とはいえ、ある程度の情報は出ている相手だし、きっとなんとかなる、かな?
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