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妖魔王

「おせぇーぞ」


 資料室に入るなり鬼神(おにがみ)にそう言われ、三人は苦笑する。その様子に、彼女はめんどくさそうな顔をしながら、


「おら、さっさと調べんだろ? 俺様は二階を探す。てめぇらは好きにしろや」


 それだけ言ってさっさと行ってしまった。


(……一応、待ってはくれていたんだよな? っていうか、鬼神さんのことで調べに来ているのに……偉そうだなぁ……)


 そう不満に思いながらも、五奇(いつき)等依(とうい)空飛(あきひ)に声をかける。


「では、俺達も探しましょうか?」


「そうっスね~。オレちゃんも二階をさっがそーっと!」


「でしたら、僕は一階を探させていただきますね。良い資料が見つかると良いのですが……」


 そう答えると、二人も資料を求めて行く。出遅れた五奇は、一人呟く。


「俺も一階を探すかな……」


 ****


「んー……良いのないなぁ……」


 資料を漁ること一時間。なかなか成果が得られない中、五奇が思い起こしていたのは、鬼神のいとこ、柩のことだった。


(あの子、なにか知っていたのかな? それとも、ただ鬼神さんを心配していただけ……?)


 考えながら探していると、ある資料が目に留まった。


「……『妖魔王について』? 妖魔王ってなんだ?」


 鬼神との関係性はなさそうだが、興味を惹かれた五奇はその資料を手に取ってみる。分厚いファイルをめくってみると、


「……なになに? 『妖魔王とは全ての妖魔の頂点にして、最上位の存在』ねぇ……」


(そういえば、あの時の妖魔は……何者だったんだろうか?)


 五奇はページを読みながら、あの日、五奇の人生を変えた妖魔のことを思い出す。


(わけのわからないヤツだったな。後、とても恐かった……)


 あの時の恐怖が嫌でも蘇えって来る。五奇はそれを振り払うようにページをめくっていく。


『妖魔王は第代わりをしている可能性があり、また、その都度属性なども変わっていると考えられる。よって、歴代の妖魔王とのデータをここにまとめる』


 そのデータを五奇は見てみたが、


「うわぁ……なんだこれ。全然わからないや……」


 複雑そうなグラフやら図形やらが書き込まれていて、とてもじゃないが解読できそうになかった。だが、ある一文が五奇の目に入った。


(『妖魔とは、人の願望に起因するモノであると仮定している』か……)


 今まで考えたこともなかった妖魔という存在について、考えてみたくなった。だが、「さすがにこれ以上は脱線する」と理解した五奇は、そのファイルを閉じ、本来の目的である”鬼憑き”について資料がないか再度探し始めた。


 ****


(結局、俺が見た範囲では、良いの見つからなかったなぁ……)


 二時間かけて探してみたものの、資料は見つけられず、五奇は他の三人と合流するため、資料室内にある共有テーブルのところまで向かった。

 この資料室は壁一面に資料が並んでおり、中央に共有テーブルが配置されている。テーブルの方を見れば、鬼神と等依が既に座って待機していた。


 空飛の姿がないことに気づくが、まずは合流をと思い、五奇は二人に近寄って行く。二人はとくに会話をしている風でもなかったので、五奇は苦笑するしかなかった。

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