ここに在り
次期当主の予定だった両我の遺体はない。だが、その死は鬼達との契約の解除を証拠に認められ、全てが落ちついた今日、執り行われることになった。
今回ばかりは正式な隊服に身を包んだ鬼神や空飛、等依が入り口前で待っていた。
「思ったより早かったな……」
鬼神の言葉に五奇は苦笑しつつも、着替えた隊服に身を包んで葬儀へとのぞんだ。終始、麗奈が泣いていたのが印象的で、切なかった。
****
その後。
麗奈はトクタイに残り、今まで通りCチームとして美珠、雅姫、琴依と戦う道を選んだ。Aチームは両我のかわりに空飛が加わることなり、等依が蒼主院家当主の座に就くことが決まったことからEチームは解散。五奇と鬼神は、二人でルッツの所属する情報部へと移動になった。
ちなみに、虎雷雅達は治療薬が開発され、無事に少しづつだが人間に戻れているらしいと、齋藤から聞いた。
「はぁ~ここで四人で暮らすのも最後かぁー」
すっかり片づけられた家で、四人はリビングにてくつろぐ。正直、両我の死をまだ乗り越えられてなどいないが、前に進まなければ彼の死が無駄になってしまう。
「んで? 空飛ちゃん、サーシャちゃんの今後は?」
等依が訊けば、空飛が嬉しそうに答える。
「はい。罪を償うべく、トクタイの処理班に入ることになるそうでございます。もちろん色々な制約付きでございますが!」
半身が少しでも社会に出られることが嬉しいのか、空飛の機嫌がいい。更に、玉髄を救う方法も前向きに進んでいるからか、なおさらだった。
「しっかし、てめぇがAチームとはなぁ。おちこぼれから大出世じゃねーか……おい、柩に迷惑かけんじゃねーぞ!」
彼女なりの心配は空飛には相変わらず届かなかったようで。彼は小首を傾げながら訊く。
「はて? 迷惑かけたりしてませんと思いますが?」
困惑する彼に五奇は、思う。
(これ、絶対愛原君と二人でなんか困らせてるなぁ……)
輝也と柩の胃を心配する。そんなことを思っていると、等依が五奇の肩を軽く叩く。
「五奇ちゃん。解散の挨拶、リーダーらしく決めてちょー」
「お、いいじゃねぇか。五奇、やったれ!」
等依の提案に乗る鬼神に、苦笑いしながらも五奇はリクエストにこたえることにした。
「えーっと、俺達、おちこぼれだったけど……さ。色々乗り越えて、ここまで来たわけで……だから……その! 最後にチーム名、記念に決めませんか? ほら、Cチームが緋雲だったみたいに!」
五奇の言葉に納得したのか、三人が頷く。それを確認すると、五奇が咳払いをして続ける。
「実は、その。考えていたんです。だから、いいかな……。俺達のチーム名は……」
五奇の案に全員が賛成し、チーム名が決まった。更なる記念にと、写真を撮る。文字も最後にと入れてみた。
『チーム、落零! ここに在り!』
最後まで読んで頂きありがとうございました。
これにて、五十土五奇とその仲間達との物語は一区切りとなります。
応援ありがとうございました。