表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/113

ひとまず

()術式(じゅつしき)! 伍銘(ごめい)! 舞砲列火(まいほうれっか)!」


(かげ)の術式、壱銘(いめい)影縫(かげぬい)!」


 灰児(はいじ)琴依(ことえ)が同時に技を放つ。避ける壱右衛門(いちえもん)を追うように、等依(とうい)鬼神(おにがみ)(ひつぎ)の鬼達が猛攻をしかけ、輝也(てるや)がアメノミナカヌシで援護をし、空飛(あきひ)黒曜(こくよう)へと変化していた。その間五奇(いつき)はすずめと対峙していた。

 すずめがこのスキを突いて動き出したからだ。妖魔王の息子となれば、壱右衛門と裏でなにをしているとも限らない。

 完全な現場判断だが、五奇はそれよりも気がかりなことがあった。


(気のせいか? なんか、さっきよりコイツの力が増してる気がするぞ!?)


 すずめからの攻撃を避けながら、五奇がそんなことを考えていた時、麗奈(れいな)がふと視界に入った。彼女は美珠(みしゅ)雅姫(まさき)に支えられていた。


(どうしたんだ? 両我(りょうが)さんもいないし……)


「おやぁ? よそ見なんて余裕じゃーん?」


 蹴りを仕掛けてくるすずめから距離を取ると、五奇は参弥(さんび)を構え直す。


「答えろ! なんであの日、俺の家に立ち入った!」


 今まで思っていた疑問をぶつけてみる。そんな五奇に対し、すずめは愉しげに口元を歪ませた。


「なんでだっけ~? あっれ~? 誰かさんのせいだったよ・う・な♪」


 どこまでもはぐらかす彼に、五奇はどうすべきか悩み……決意した。


(やってみるか……!)


 五奇は輪音(りんね)と参弥を同時に構え、唱える。


(きん)の術式、()()!」


 五奇の二対の武器が変形していく。大きく、よりメカメカしくなっていく。


伍銘(ごめい)封魔刃(ふうまじん)(ぜろ)!」


 その勢いのまま、五奇は技を繰り出した。今までにない速度で射出されたワイヤーは湾曲して避けるすずめを自動で追尾し捕らえ、輪音の技が命中しすずめの腹部に突き刺さる。


「がはっ!?」


 吐血する彼に、五奇は静かに呟いた。


「答えろ。あの日、なぜ……俺の家にいた? いや答えさせる!」


 五奇は輪音で突き刺したまま、更なる技を放った。


封呪文(ふうじゅもん)改変解放! (みず)の術式! 弐銘(にめい)暗雲の夢(あんうんのゆめ)!」


 これは、かつてルッツが五奇に使用した技で幻覚系の一種だ。思考が誘導されやすくなるのだ。


「答えろ。あの日、お前が五十土(いかづち)家にいた理由はなんだ?」


 出血のせいもあるだろう。思考がまとまらないのか、予想以上にあっさりと彼は答えた。


「……だ、よ……」


 それを聞いた五奇の目は大きく見開かれた。それを見てすずめが邪気しかない笑みを浮かべるとそのまま力を封じられ、意識を失った。

 力なく倒れる彼を受け止めると、五奇は素早く拘束具で拘束する。動けず、転移もできないことを確認してから、仲間達の元へと合流すべく走り出した。

 見れば、今まさに攻防戦の真っ最中だった。慌てて加われば、壱右衛門はなんと計十人の攻撃から逃れていた。


「な、なんなんだ!? この人は!? いや、人……なのか……?」


 五奇の疑問に答えられる者は誰もいなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ