三度目は
「輪音の鈴が……鳴っています! 数は二体! これは……この反応は……!」
五奇の言葉に輝也と琴依が頷き、それぞれ戦闘体勢に入る。輝也は呪文を唱えてもう一体の神の再現体ホスセリを出し、琴依は剛徹武流丸を呼び出した。
「しっかーし! 五奇ちゃんの輪音ちゃんは本当に便利だねー! たっすかる~!」
琴依なりのエールととらえた五奇は、小さく微笑むと参弥と輪音を構えて先陣を切る。目の前のふすまを思い切り開けた。
「あ、やっほ~♪来たね~待ってたよ~♪」
そこには、呑気にお茶をするすずめとスカーレットがいた。くつろいだ様子のすずめの姿にもなにも感じることなく五奇が告げる。
「遊びは終わりだ。聞かせてもらうぞ! お前達の目的を!」
五奇が声を張り上げれば、すずめが不思議そうな顔をする。
「ありゃ~? なんでそんな顔ができるの~? お父さんの仇だよ? ねぇ?」
挑発するようなすずめの言葉にも、五奇は平然と答える。
「だからこそだ。だからこそ、お前を赦さないし裁きを受けてもらう! 覚悟しろ!」
五奇は参弥を構え、すずめにターゲットを絞る。それを見て、彼は不敵な笑みを浮かべた。
「それじゃあ、また壊してあ・げ・る・よ~♪ あと、邪魔なのいらないから。スカーレット」
「承知シマシタ」
相変わらず無機質に答えると、スカーレットも戦闘体勢に入る。
「ほえ~! この子がウチの等依ちゃんが苦戦した相手か~! よっしゃ! おねーさまが仇とっちゃる! 武流丸! いっちゃえー!」
琴依の号令で、武流丸がスカーレットに向かって行く。それと同時に輝也がホスセリを操る。
「五十土。任せていいんだな……?」
「うん。頼むよ」
短い会話だが、意図は伝わったらしい。輝也は小さく頷くと、スカーレットに向かって行った。
「おやおや? いいのかな♪一人でボクと戦うなんてさ?」
またしても挑発してくるすずめに対し、五奇は静かに答えた。
「一人じゃないさ」
「は?」
「俺はお前にはないものをいっぱい持っている! だから! 終わらせる! ここで!」
五奇はそう告げると、参弥をセットした。
「いけ!」
すずめに向かって一直線に伸びて行くワイヤーブレードは、案の定かわされた。だが、五奇は冷静に次の行動に移る。
「金の術式、壱銘、斬葬!」
技を放ったと同時に駆け出し、すずめの懐を狙って蹴りを入れようとする。それすらも軽やかにすずめはかわすと、胸元から振り子を取り出した。
「はぁ……だからさぁ。精神なんて脆いもんなの! 簡単に壊れるおもちゃなんだよ? それなのにさぁ……」
一端言葉を区切ってから、すずめは邪気しかない笑みを浮かべる。
「気合入っちゃっててかわいいねぇ♪ ぶっ壊してや・る・よ!」