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各々の力

 午後十三時。

 時間きっかりにそろった五奇(いつき)等依(とうい)空飛(あきひ)鬼神(おにがみ)の四人は、齋藤からの指示を待つ。

 どうやら、別行動をしていた空飛と鬼神には個別にメッセージが送られていたようで、「だから時間ピッタリだったのか」と五奇は納得していた。


 齋藤は思ったより早く室内に入って来て、四人を確認すると口を開いた。


「うむ、心がけやよし! では、あらためてこれからについて説明するとしよう。まず、チームワークを確立させるために貴様らには近日中に、こちらが用意した一軒家で共同生活を送ってもらう! 文句は聞かん。次に、最低でも三か月は訓練期間とする! 気を引き締めろ!」


 その言葉に、鬼神が大声をあげる。


「はぁ!? こんなむせぇ野郎共と暮らせってのか!? んなもんお断りだ!」


 心底嫌そうな彼女に対し、齋藤が鋭い目つきと口調で言った。


「鬼神乙女(おとめ)……。文句は聞かんと言ったはずだ。なにより、この中で一番貴様が弱い! それすらもわからんのなら、辞めてもいいぞ?」


 どこか試すような、それでいて厳しい言葉に、鬼神が食って掛かる。


「なっ!? 俺様が弱いだと!!」


「そうだ! 貴様の素質自体は認める。だが、その力を全く制御出来ていないであろう! ただ力に任せているだけの者が、強者になれると思うてか! 世の中を舐めるのも大概にしろ!」


「くっ……そが……」


 力なくそう言い返すと鬼神は黙ってしまった。どうやら心当たりはあるらしい。なにか言葉をかけるべきか悩んだ五奇だったが、結局言えないまま、話は進んで行った。


「コホン。では、今日は貴様らの互いの能力、戦闘力について把握してもらう! 演習場に行くぞ、着いてこい!」


 齋藤の後に続く形で、四人は部屋を一端後にした。


 ****


 演習場は、五奇達がいたビルから徒歩十分ほどのところにあった。ドーム型でテニスコート四面分の広さの中に入れば、齋藤が四人に声をかける。


「準備はいいか? これより演習を行う! まずは五十土(いかづち)五奇! 貴様からだ!」


 齋藤に指名された五奇は、驚き戸惑いを隠せなかった。


「えっ? 俺からですか?」


「そうだ! 貴様がこの中でバランスが一番いい! その力を示してみよ!」


 ハッキリと言われてしまい、五奇は反論できなかった。覚悟を決めた五奇は前に出て、参弥(さんび)輪音(りんね)を構える。それを確認した齋藤が、右手をあげた。


「ターゲット射出! 五十土五奇よ! 攻撃をしてみよ!」


「は、はい! 始めます!」


 土偶の形をしたターゲットが三体射出され、五奇めがけて飛んでくる。五奇は、祓力(ふつりょく)を乗せた参弥のブレードを放ち、一気に三体を払い落とした。

 離れたところから様子を見ていた等依の声が五奇の耳に入る。


「ひゅ~! 五奇ちゃんやっる~し、変わってる武器っスねー」


 呑気な等依の言葉に、五奇は返事をしている余裕はなかった。必死に思考を巡らせる。


(三体は払い落したけど、これは起き上がってくるかもしれないし……やるか!)


「輪音セット! 金の術式(きんのじゅつしき)! 壱銘(いめい)斬葬(ざんそう)!」


 射出されてきた五体を退魔術式で一気に撃ち倒すと、カートリッジを素早く交換する。続いて四体が射出され、五奇めがけて光線を放ってきた。それを右に左にかわして、弾丸を放つ。


参銘(さんめい)閃牙(せんが)!」


 閃牙は斬葬のような一直線の攻撃とは違い、何発もの弾丸と威力のある衝撃波を同時に放つ技だ。一発で四体のターゲットをを撃墜させると、またしても等依の関心したような声が上がったのが聞こえた。


「よし。まぁまぁ仕上がっているな? 五十土(いかづち)五奇よ、下がってよいぞ!」


 齋藤からの言葉で、五奇は攻撃体勢をやめ、みんながいる所へと戻る。それを確認した齋藤が、


「次は、蒼主院(そうじゅいん)等依! 貴様だ!」


 指名された等依はのんびりと伸びをした後、準備運動をしながら前に出た。


「うーし、オレちゃん頑張っちゃうっスよ? まぁ対して強くねぇんスけど……」


「準備はいいか? では、射出!」


 齋藤が再び右手をあげ、ターゲットが射出される。等依は真剣な眼差しで、対峙する。


「さぁて、やるっスか!」

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