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チーレム野郎の屋敷は高級住宅街の一角にありました。
土地が限られている都の中で、これまた少ないカントリーハウス並みのだだっ広いタウンハウス。一軒が所有する庭の広さで苦情が出るレベルの広さがあります。
うわっ。信じられない。
前世で見たテーマパークにある庭園は某宮殿の庭を模したものだったけど、その一部を切り取ったくらいの広さしかありませんでした。カントリーハウスによっては、敷地を一周歩くだけで何時間もかかる場所もあるけど、都でそれだけの広さを誇るのは王宮を除いて数えるくらい。
そういえば、チーレム小説に悪事に手を染めていた高位貴族たちを成敗した話があったっけ。
その高位貴族たちの館の敷地を売ったり、買ったり、統合したりして、この屋敷を建てたのでしょう。
前世を思い出す前は仕事のことで手がいっぱいで、チーレム野郎のことなんかどうでもよくて忘れていました。
え? 悪徳貴族たちのことはどうなんだって?
下っ端貴族の端の端だから、知りませーん。
実害ない限り、こちとら日々の生活でアップアップですよ。
そんなこんなわけで、現実問題、どうやって潜入するか?
これ見よがしに武器を手にした警備が門やら角やらに立っています。
他の広いタウンハウスでも、そんな屋敷がいくつかあります。重要な地位にいる高位貴族の屋敷なんでしょう。
チーレム野郎は無双しまくった結果、いろんなとこで恨み買っていますから、重鎮並みのこの厳重な警備はわかります。
他にも、なんか便利な魔法でも敷地にかけてあって、警報機代わりに鳴るとか、そんな感じでしょうか?
ん~。
潜入できなくてBL計画はこれでとん挫?
いや、まだ早い。そんな便利なチートスキルあるわけないだろうし、警備システムに役に立ちそうな魔法はこの世界にありませんし、大丈夫でしょう。
ということで、潜入方法が思いつきました。