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私はメリッサ。王宮で侍女をしているしがない異世界転生者です。
異世界転生ひゃっほーい!
ビバ! 異世界転生!
ようこそ、魔法とスキルとチートな日々へ!!
と、前世を思い出した瞬間、思いました。
ですがね。私が転生したのはチーレム野郎が無双して嫁を大量生産する話の世界だったんですよ。
そうなんですよ、奥さん。
何が楽しくてチーレム野郎のいる世界に転生してしまったんでしょうか?
もしや、私も嫁候補の一人?!
な~んて、思っていましたが、私、チーレム嫁になるには歳をとりすぎていました。
エルフなら幼女嫁になれても、人間だったらアラサーは充分、嫁かず後家。
はーい、オバさんなんて言わない!
25越えたらババアですよ、この世界では。
はいはい。ババアだから、私もはっちゃけようと思います。
煌めくこの金髪。髪と同じ色の長いまつ毛に縁どられたコバルトブルーの目。ぽってりとした唇。チーレム嫁になってもおかしくない美女(ただし、年齢的にラノベには登場できない)。
見かけはいいんですけどね、ババアですから。
チーレム嫁でもラノベには登場できない年齢ですから。
登場するなら、チーレム野郎が子どもの時に死んだ母(チーレム野郎の母親存命中ですが)。
何度も言いますが、ババアですから、開き直って前世の記憶で思い出した腐女子の道に生きようと思います。
だって、見かけがいい女性なんてこの世界じゃあ当たり前なんですよ。
石を投げなくても、右を見ようが左を見ようが、全員美女(美熟女含む)と美少女(美幼女含む)しかいない。
顔の良い女性しかいないこの世界、一夫多妻制でいくらでも嫁が取れるというウハウハ状態なわけで、その中で売れ残ってしまったのが私でした。
家庭円満な女性大臣も何人もいるおかげで、仕事一筋だったから結婚できなかったなんて言い訳言えません。
きっと、前世が腐女子だったせいで、結婚とは縁遠かったんでしょう。そういうことにしておきます。
さて、そんな腐女子な私に悲報です。
美女と美少女だらけの世界のおかげで、イケメンは男の娘しかいません。
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――責任者出てこいや!!
異世界転生しても、楽しみ何もねーじゃねーか!!!
チーレム野郎のような平凡顔でイケメン度がカンストしていて、それ以上のイケメンは皆無って、どんな地獄だよ!!
「メリッサ、お茶」