第7話『剣をとれっ!!キンキンキンキン!!』
ファンタジーといえば熱いバトル、戦いといえば魔法や武器、魔法は解説しましたよね。残るは、そう、剣です!
え?銃?ああ、なんか主人公が銃作って無双するやつ?純粋なファンタジーなんでそれは解説しませーん。
さて、様々な武器がありますね。実際ファンタジーにも戦斧や戦棍、弓矢、槍など、数多く出てくると思います。しかしですよ、武器、ファンタジーと聞いて、最初になにを連想しますか?
ええ、ええ、そうでしょうとも。
我らが剣です!!
ファンタジーといえば剣、剣こそ1番美しくイケてる武器!
ファンタジーでなぜ剣、ってのはもうわかってますよね。アーサー王のエクスカリバーやスサノオの天叢雲剣、数多くの伝承に剣は出てきますね。
今回のお話は、果たして実際の剣の戦いはどうだったのかです。
自分剣大好きなので日本刀も洋剣もいくらでも語れるので、今回はファンタジーということで、洋剣に絞って考えましょう。
先日、こんなツイートを見ました。
なろうによく出てる、バトルシーンのオノマトペ、「キンキンキンキン」ってあれ、どうなの?
分かる、分かるよぉ。慣れたっちゃ慣れたけど。
自分は擬音は扉の音くらいで、剣はしっかり描写しますよ。
よくあるシーンはこんな感じですね。
◆
キンキンキンキン!!
剣と剣がぶつかる激しい音が鳴り響き、飛び散る火花に戦いの苛烈さが垣間見える。
「ふっ、なかなかやるな」
「フラグ立てんなよっ!」
もう一度打ち合う。
キンキンキンキン!
「無駄なことを」
◆
うーん、キンキンキンキンって自分で書くと恥ずかしくなるわ。やっぱり漫画とまた違うからな。もちろんもう慣れて漫画と同じ扱いをしていますが。
では、自分の拙い文章で精一杯書いてみます。シチュエーションは、主人公が怪しげな男と戦い、実は相手が剣聖だった、にしましょうか。
◆
腰を落として、片手半剣を水平に構える。切っ先は一直線、相手を狙って。
「いくぞ」
終始無言の相手は、静かに正眼に構えている。落ち着き払ってこちらを警戒すらしていない。
剣の心得、先手。先にいかせてもらうぞ。
溜めていた脚力を一気に解放し、飛び出した。狙うは一撃、首を落とす。
まだ正眼に構え、動かない相手に苛立ちを覚えつつ、剣を横薙ぎに振り切る。確実に斬った、その感覚はあった。しかし、無傷の男がそこにいる。
「お前、何をした?」
ようやく口を開いた男は言った。
「だから言っただろう。俺に剣で勝つことはできない」
「抜かせ、一度避けたくらいでーー」
振り抜いた剣をそのまま叩きつける、が、最小限の動きで払われる。
くそっ、なんなんだこいつっ!
腕に歳ほどよりも魔力を流し、力を強める。出来うる限り最高速度で剣を繰り出した。上段から振り下ろし、抉るように突き出し、捻り、切り返し、薙ぐ。
その動作ひとつひとつを的確にとらえる男の剣。金属のぶつかる耳障りな音が響き、火花が散る。
拉致があかねえ!
一か八か、全力で行ってやる。
剣を脇に構え、飛びかかる。全力を込めて、両手で叩きつける。両手使いも出来る片手半剣ならではだ。そして俺の腕力は今、魔力強化されている。なら、いけるはずだ。
「クソがッーーー!!」
振り下ろした剣は、振り上げた男の剣によって、見事に中心から折れ、弾け飛んだ。最後の火花が散った。
俺は、感情に任せた太刀筋のせいで、自らの剣を折った。
◆
はい、いかがでしょうか。少しは伝われぇ!
要するに、キンキンキンキンがなくても表現できますね、ってこと。
これはツイート見たから言いたかっただけね。本題は別にございますよ。
前置きが長い?さーせん。どうしても言いたかった。でもキンキンキンキンも、あながち本題と無関係ではないのです。
さあ本題ですね。この、キンキンキンキンという音。金属のぶつかる音ですね。これって、本当に鳴るんでしょうか。
自分は家に剣がたくさんあるので、人に持ってもらって打ち合ってみました。
うん、そんな高い綺麗な音鳴らん。
まあね、擬音だし?少しくらい誇張があっても?いいんでないの?
まあ。そう思いましたからね。日本刀でもやってみました。あ、もちろん打ち合うのは模造刀ね。真剣は高いから。一応あるけど。
うん、日本刀の方がキンキンキンキンに近い音がする。鍔の音説は否めないね。
結局あの高い音はならないのか。
刃のついた剣をお互いに何度も何度も打ち合えば、自然に刃こぼれしてダメになってしまいますね。
キンキンキンキンなんて、高い音は出ないのです。
さてさて、では次に、ファンタジーにおける剣術と、現実を比べてみましょう。
まず、洋剣も沢山の種類があります。
中世前期までの洋剣は断面が、潰れた六角形をしていました。
|| ||
|| ||横から見た剣
|| ||
\\//
\/
このような形です。よく見ますね。剣の中心は平らで、刃が両側裏表にしっかりとあるものですね。これは切断力を重視しています。加えて、この平らな部分の真ん中に、溝(フラーと呼ばれる)が彫られていました。柔軟性と軽量化ですね。
剣といえば十字に鍔がありますが、初期はシンプルで、ほんのストッパー程度でした。
中世前期は鎧なども進化しておらず、鎖帷子、いわゆるチェインメイルが主流だったので、この切断力を意識した剣が活躍していました。
しかし後期、武具が進化して、フルプレートメイルが誕生しました。
よく見る全身を覆う鎧ですね。これは実際とても重く、扱うのが大変なのと、値段がとても高価なので金持ちの騎士しかつけられませんでしたが。
これらが出てくると、従来の剣では有効的なダメージを与えられなくなりました。そこで、鎧の隙間を刺すため、刺突型にシフトしていったのです。
それが、よく見る断面がひし形の剣。
| | |
| | |
\ | / 横から見た剣
こう言ったものですね。
切断力をすてて、刺突に特化しました。
ちなみに、よく剣の柄の頭に飾りがついてますよね?聖剣のようなものだと宝石とか。あれって実際形は違えど付いていたんですよ。
え?飾り?
いえいえ、宝石が付いているのは儀式用だけですね。何かと言いますと、ポンメルまたはポメルと言って、手元に重心を持ってくるためのものだったのです。
洋剣は鋳造でした。鍛造ではありません。ですから日本刀のような切れ味もなければ、優雅さも少ない。どちらかというと棒ですよ。刃こぼれしても戦えるという利点はありますが。
そして何より打ち合えばしなる。しなるというか、ファンタジーに出るような優雅な薄い刃の剣は、しなる。
さあ、これらを踏まえて、戦闘について考えましょうか。
切断を意識した初期は、剣と剣を打ち合わせる以前に、相手を切らなければなりませんから、相手の剣をかわしたり受け流して戦ったのですね。ですから、キンキンキンキンなんてことはなかったのです。
後期はそれよりもですよ。
刺突に特化したので、両手で構えて突き刺す。それが切断力のない平たい場所で引っ叩く。
ドロドロの戦いでした。
脳震盪を起こさせるように剣の平たい面で頭や顎を殴りつけ、果ては先ほど説明したポンメルで殴って撲殺。隙があれば突き刺す。しなるから遠心力をつけて殴る。
そんな、とても優雅に剣を打ち合わせる戦いなどしなかったんです。もちろん少しはありますが。
まだ初期の方が剣技っぽかったですね。
ではファンタジーにおいてそれを導入するのか。
リアリティは出ます。かなり。戦いという面を押し出せば、上の戦いのようなドロドロの殴り合いを入れれば良いでしょう。しかしですよ、皆さんが読みたいファンタジーはそうですか?
自分はドロドロももちろん好きですが、少しは優雅に剣を撃ち合って敵を倒す、華麗な技を読みたい。ですよね?
ではどうすればいいのか。自分の作品ではルールを決めました。
まず、中世と違って、剣は鍛造。打って鍛えた強い剣。そして、魔力を流せる。
魔力に関してはご自由に設定してください。自分は、ファンタジーの鋼は、魔力を流すと硬化するという設定を加えました。
さて、常に腕に魔力を伝わせ、腕力を強化、ついでに剣本体の硬度もあげる。するとどうでしょう、キンキンキンキンと撃ちあえるのです!
フルプレートメイルが切れない?それなら剣に鋭さを加えればいいんですよ。
そうすればしっかりダメージも与えられる。立派な打ち合える剣の完成です!
ほとんどリアルの剣の解説でしたね。
要するに、ファンタジーなのだから打ち合えるようにしてしまえ!ってことでした。
あ、キンキンキンキン、いいけど意外とダサい。
できれば丁寧な描写で補ってあげて。あと、断面がひし形の剣より六角形の方が綺麗。プラス切れ味もいい。絵を描くときも、真ん中に1本線を入れただけでなく、2本入れてあげるとより美しく切れ味の良い剣になりますよ!
書くときの、描くときの参考にしてください!
これは結構重要ですよ。剣ですよ剣。ファンタジーには絶対必要ですよね!!ね!!
しっかり現実を知ることで、ファンタジーの理由付けもできる。そんなことが伝えたかった文章でした!
ということで、ブックマーク、☆☆☆☆☆に評価を入れていただけると幸いです!感想なども大喜びしますよ!飛び跳ねててんきゅ!!と叫びます。取り上げて欲しい話などがあれば書き込んでくださいませ。それでは次話で!