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「思ったよりも酷くなくて良かった」
手当をしてもらい一息ついているとアーロンが言った。
「本当ですわ」
「でもその足では今日のパーティーはもう無理だろう」
「そうですね…お兄様、では帰りましょう!」
クリスが言った一言にライラは嬉々として帰宅を促した。
「…仕方がない…殿下申し訳ございませんが、私と妹はこれで失礼いたします」
アーロンはクリスに深々と頭を下げた。
「構わない…しかし俺としてはこのままもう少しライラと話をしてみたいんだがな」
「「!?」」
クリスの一言に2人は驚いた。
「殿下…本日の主役はあなた様ですよ。そろそろお戻りになられたほうがよろしいのでは?」
「はぁ…そうだな…ではライラまた今度私と会ってくれるか?」
「…えっ…?」
ライラの顔が引きつっていた。
クリスの思わぬ言葉にアーロンが少しムッとした。
「殿下…この時期に軽はずみな言動は控えるべきです。殿下は現在婚約者を探していらっしゃるでしょう?」
「…まぁ、そうだな」
「そんな時期に女性と二人で会うなどすれば、その女性は婚約者候補に選ばれたのだと思われてしまいます」
クリスは黙って聞いていた。
「ライラと会ったことが万が一にでも周囲に漏れてしまえば、婚約者候補に間違われてしまいます。そんなこと私が断じて許しません」
アーロンは強い口調で言った。
「お兄様」
ライラは嬉しい反面、シスコンだなと改めて思ってしまった。王子殿下の婚約者候補なんて貴族であれば本来喜ぶところだろう。
「分かったよ。君の妹に迷惑をかけるつもりはない」
クリスはそう言いながらライラに近づいてきた。
「君は大変だね、こんな怖い番犬を飼っているなんて」
「クリス様、番犬だなんて…お兄様は私のことを思ってくださっているだけですわ」
クリスはライラの手を取り、甲に口づけをした。
「またいつか会えたらその時は話をしよう」
ライラは顔を真っ青にして固まってしまった。




