14. 今夜もチンターマニ!
華武吹町二丁目公園前の通りに停車している個人営業のタクシーは今日も客を乗せる気が無いらしい。
本日は女性週刊誌を顔に乗せて風祭さんはちょっと遅い昼寝に入っていた。
週刊誌の見出しには「CM女王、一億円かけた偽りの美貌」と掲げられている。
運転手側の窓をノックすると、風祭さんは柴犬に似た顔にシワを作って「禅ちゃん、久しぶりじゃない」と常套句を口にした。
「今日はどうしたの?」
「おじさん、アキラって知ってる?」
「ああ、アキラくんね。大和の、色黒で綺麗な顔した彼でしょ。有名人だよ」
やっぱりそうなのか。
黙っていてもあいつは目立つからな……いろんな意味で。
「今どこにいるかわかる?」
「大和にはいないの?」
実は俺も風祭さんの手を煩わせまいと大和に電話した。
大和の店長は格闘ゲームの投げキャラみたいな腕毛ボーボーのゴツいおっさんで、飲食店のオーナーとは思えないほど愛想が無くて怖い。
その怖い店長が電話に出て、俺は結果的に「逆に俺があいつの居場所を把握したい」、「友達の家じゃねえんだから注文しないなら切るぞ」と超正論で怒られたのである。
ちなみにデリバリーは二千五百円から、らしい。
金の余裕が無いどころかマイナスでさらにラブホテル代を借金しようという俺にとって、出し渋るに十分な金額だった。
街中をふらついてみたが、あのダサい白スクーターの影はなく、俺はとぼとぼとこの街の情報網の中心である風祭さんを頼ったということだ。
二週間前同様にキリッと目つきを切り替えてアキラを探してくれる……のかと思いきや、風祭さんは困った柴犬の顔をして薄くなりつつある髪の生え際を撫でた。
「アキラくんはねえ……華武吹町じゃあちょっと特殊だからねえ……」
「特殊……性癖?」
「それも、あるとは思うんだけど――よくわからないんだよ、彼。僕も何度か……多いときはタクシー十台くらいで追いかけたことがあったんだけどね。すぐ気づかれちゃうし、撒かれちゃうんだよね。消えちゃうの、スクーターごと」
「え……消える?」
「だからアキラくんに関しては、おじさんもお手上げなんだ。悪いね、禅ちゃん。こればっかりは力になれそうにないや」
「あ、ありがとうございます」
大和の店長の口ぶりからして、アキラのサボり癖は相当のようだった。
俺を助けてくれたときもSMクラブがどうだとか言っていたし、大抵ぺちゃくちゃと長話を決め込んでいるし。
予想の範疇を超えた寄り道が多いのだろう。
「ま、気をつけてね。好奇心、猫を殺すって言うからねえ」
風祭さんは女性週刊誌を顔に被る。
珍しく、話を切り上げたいという態度だった。
意外な答えに肩を落としつつ、時間も差し迫っていたので俺は次の予定に向かうことにした。
*
「風祭さんにもわからないこと、あるんだなあ……」
俺はぼやきながら新品のテーブルを並べては保護テープを剥がし、拭いていた。
「全知全能またはそれに近い人間がいるとしたらもはや人間ではなく、それは神か悪魔だわ」
酒焼けした太い声でママは答える。
二週間前の一件で半壊したオカマバーのシャンバラ。
体よく保険金をふんだくったママは改装工事に加えて備品を新しく買い直したという。
そして本日夜から新装開店するそうで、俺はその手伝いのバイトにありつく事が出来たってわけだ。
「男手があって助かったわ」
「オカマ手だらけだもんな……」
真新しい革張りのソファで機嫌よさそうにぷかぷか紫煙を吐いているママ。そして白シャツにカマーベスト、ウエイター然とした服装で開店前の重労働に勤しむのは俺の一人だけだった。
オカマ手と言っても、指先まで綺麗に整えられた手にこんな重労働させるわけにいかないしな。
ウンケミなんか俺より引き締まってるしママなんて筋肉の塊みたいなものだけど、女の子だっつうなら俺はその主張を飲み込む他無い。なんせ俺は男の子だから。
ふと気になって、俺はママに少々不躾な問いをぶつける。
「ママは身体を工事しようって思わないの? おっぱい大きくしようとか」
「思わないわね」
存外あっさりと答えたと思ったが、次第にママの表情が強張る。
「どうしたの、あんたまさか……」
「違うって! 知り合いの女の子がさ……豊胸手術で……」
吉宗の、偽乳のことを話すとママは「なるほどね」と合点がいったようでしばらく言葉をまとめると短く言った。
「私は、なりたい自分になれてるからいいのよ」
テーブルを抱えた俺の動きさえ止まって、店内は静まり返る。
吉宗はなりたいおっぱいに――なりたい自分になった。
そこに秘密という足枷をつけることになってしまったけれど。
それを言うなら津留岡だって一緒だ。
俺や陽子だって、自分の理想じゃないにしろ装って秘密を抱えた。
理想に近づくために、相応の覚悟をして枷を負った。
それを、よくも知らないのにとやかく言われるのは、いい気はしないし腹が立つ。
「なりたい自分になるだけなのに、秘密の枷を抱えなきゃいけない、か……」
「努力しただけ生まれ持ったままの姿からかけ離れていく。あんたでさえあるでしょ、そういうの。それが成長ってものよ」
「……ま、そっすね」
俺はママに身の上を話したことはないけれど、女の勘、人を見る目だろう。
作業に戻った俺に、ママの忠告は続く。
「でも滅多な詮索はよしておきなさい。そんな秘密は誰だって抱えているわ。特に、女にとってはドレスの一枚みたいなもの。あんたの父親はあっちこっちの女に深入りしてそのドレスを脱がしちゃうから、いつもややこしい事になったのよ」
「……はーい」
またか。よく知りもしないオヤジと比べられてもな……。
ぼんやりとした返事の中で、俺は優月のことが巡っていた。
優月の秘密。
彼女が何者なのか、俺はまだ知らない。
優月は生活に慣れてきたようだし、俺も今の状態は悪くないって思ってる。このままなあなあになってもいいかもしれないとは思いつつ、いずれ話さなければならないこともわかっていた。
小一時間かけて新たなインテリアを配置し終わった頃に、裏口が騒がしくなってくる。
「ママー! おっはよ~!」
ぎらぎらとスパンコールを光らせる服装と濃い化粧に可愛らしいニットを被ったゴチャ混ぜスタイルのアケミとウンケミが登場してすぐさま俺の左右に張り付いた。
「禅ちゃん! 禅ちゃん! どうしたの、そのカッコ!」
「やっだー、ちゃんとすれば男前じゃない! タッチンコーン!」
「お元気ンコーン!」
「気安くパンパンすんじゃねえ!」
それから次々に従業員が来ては俺を――俺の股間を叩いていくのでママがとうとうお叱りになり、俺は厨房に押し込められて四時間ほどウエイター兼、皿洗い機と化した。
そうこうしているうちに夜十時。
夕飯時を乗り越えた俺にようやくママから休憩のお達しがある。
「あんたも晩ご飯、食べなさい」
ママはそう言いながらドレスのまま厨房に立ち、片手で卵二個割った。
逞しい調理の末に登場したのは、チキンライスの上にオムレツが乗った、少し手の込んだ形のオムライスだった。
例のハズレ席に座る俺の前に差し出すと、正面席にのしっと着座して煙草に火をつける。
「私の得意料理よ。今はもう、食べてくれる人はいないけど……ああ、しんみりしちゃったわね。おあがりなさい」
子ども扱いされている気もしないでもなかったが、返す言葉もなく俺はありがたく行儀よく両手を合わせた。
オムレツの中央を切れば、とろとろと卵がライスを包むような本格形式だったが、ライスは子供じみたベジタブルミックス入りの強いケチャップ味。
少しちぐはぐな印象を受けるも、これはこれで……というか、かなり美味い。
そして偶然にも連続カップラーメン(しかも全部同じ味)を回避出来ているのは奇跡だ。
俺はそろそろ奈落の食生活に戻れない身体になってしまう。
そういえば、二週間前。
俺が初めてこの店に来たときは時間も遅くフードメニューが完売していたのか、大和の店屋物をとってくれたっけ。
そしてアキラがやってきて俺は……ひどい目にあったんだった。
乳首を見せ付けられたり、殴られたり蹴られたり、電マで攻められたり。
そうだ、アキラ。
「そういや、ママは最近アキラ見てる?」
「見たわよ」
「あいつがどこにいるか知ってる?」
「知ってるわよ」
「え、どこに!?」
俺が身を乗り出すと同時にママは首を後ろに向けて店内に大声で「アキラー! 禅ちゃんのご指名よー!」と叫んだ。
「え……?」
薄暗い客席の中でぬっと立ち上がった影に俺は唖然としながら状況を受け入れるしかなかった。
一際目立つ金糸の装飾が走った赤いチャイナドレス。はちきれんばかりの胸筋。浅黒い肌と本日は何故かポニーテールに化粧が施された、どう見てもアキラだった。
「マッマー! 今日は違うのわよ! アキラ子わよ!」
アキラ子だった。
「何だ、コレ……」
俺が絶望的に口から零した言葉に、ママが「稼げるから大和から借りたのよ」と親指と人差し指で金を表すありがてえ手印を作りながら身もフタも無いことを言う。
その間にアキラは俺の隣に座り、尻が密着するまで席を寄せてきた。
「禅ちゃん、アキラ子がいないと心細いのわね!」
「全然」
使い方が間違っている上に鬱陶しい女言葉でしなだれかかりながら、アキラは俺の胸に人差し指を突き刺してぐりぐりと押し込んでくる。
「もしかして、着衣も悪くないって……女装のことか」
「そうわよ! 服を装い、化粧を装い、一方で脱毛に励む! 可愛いを偽るって結構大変なことだったのわよ! でも偽るとは人の為と書く! 自分の為、誰かの為に強く美しくなる、それが偽りわよ!」
「どうでもいいけど俺の乳首を探そうとするの、やめろ」
以降、俺はアキラの新たな性癖について完全に無視する姿勢を貫きながら、十一面観音エーカダシャムカと戦ったことを話す。
ママはいつの間にかこっくりこっくりと船を漕いでおり、まるで話は聞いていないようだった。
「観音は引っ込んじまって……どうやったら吉宗からチンターマニを外すことが出来るんだ?」
「十一面観音エーカダシャムカ……怪仏化解除を使って逃げ果せるとは、悪知恵が働くようわね。多少猶予はあるようだけどチンターマニは埋め込まれている以上、意志の力によって引き剥がすしかないのわよ」
「ボンノウガーになって戦うしかねえってことか……」
「そう。そしてチンターマニが手に入ったら、アキラ子が禅ちゃんの大事なところに装着してあげるのわよ!」
「足の装備が増えていたのは、やっぱりてめえの仕業か! そういうの先に――」
「馬頭観音ハヤグリーヴァ、畜生道を駆け抜けし人馬の力……! カ・イ・カ・ンだったはずわよ」
アキラはそう言うと、引き締まった足を大げさに振り上げ、俺の片足と組ませる。
余談だが、ベースの顔立ちが整っているので妙に美人で、そんな評価をしている自分にイライラしている。なんかこう……その出来栄えを怖いもの見たさで鑑賞したいような気もするが調子付きそうで怖いのだ。
そんなこんなで俺の不愉快指数がぐんぐん上がっていることなどお構いなし、アキラは構わず体重を預けてきた。抵抗したものの、俺は四十五度に傾く。押し倒されてたまるか。
「禅ちゃんが苦戦しているエーカダシャムカの笑い声は、救済の力が《漏れている》状態。持続的な攻撃をされては煩悩エクスプロージョンを構えられないってわけね」
言いながらチャイナドレスのボタンを一つ、また一つと外していくアキラ。
くそ、結局こうなるのか!
着衣(一般常識)に目覚めたからといって少々心配していたが、それが杞憂なら、安心も無駄だったのだ。
「つまり、己の煩悩を解るだけでなく、持続的に向き合い制御しなければならないのわよ!」
「アキラ、何かいい感じのことを言ってんのはわかるんだけど、頭に入ってこないから脱ぐのやめろ!」
「アキラ子わよ!」
俺が止める間もなくチャイナドレスは宙を舞った。
レース生地でスカスカな上に総面積も小さい下着の上下がアキラの褐色肌の上に光る。
もう一度述べる。
上が、ある。
レースの下に汚い十円玉がそれぞれ配置されており――
「気にしないで、これは乳首制御装置」
――らしいので、気にしないでおく。
「一瞬にして全てを解き放つ煩悩エクスプロージョンは瞬間火力、大型大砲。でも絶えずエーカダシャムカの笑い声とは相性が悪い。対抗する方法は一つ、同じく煩悩を漏らすのわよ!」
「煩悩を、漏らす……」
「強く解き放たれる男の愛が煩悩エクスプロージョンなら、絶え間なく静かに与えられる女の愛、言うなれば――」
――ハァ……。
熱い吐息が俺の耳を撫でた。
「――煩悩Stream……ッ」
無駄に発音の良い囁きに身震いを覚える。
何で俺にセクハラをするのかわからないし、その結果長話の内容がどばどばと頭から抜け落ちてしまう。アキラの説法はアキラ自身によって無に帰しているってのは否めないんだけど。
しかし長い無駄話は終わっていないらしく、むしろここからが本番だと言わんばかりにアキラはガバっとソファの上に仁王立ちとなった。
こうなってしまうと、こいつを止める者はいないだろう。
他の客席がざわつき、女性客が黄色い声をあげてカメラを向ける始末。
ママ、助けてくれ。
助けを求めて視線を投げたが、ママはやはり船を漕いでいた。
アキラは長い前髪をかきあげて一通り視線を配ると、唖然としている俺にはやっぱり暑苦しい調子で脱衣説法を続ける。
「溢れ出す情熱のお漏らしが煩悩ストリームとなるのわよ!」
「煩悩ストリーム……」
「煩悩ストリーム!」
だっさ。
絶対に技名を言わないけどな。
「でも気をつけるのわよ。持続的に己の煩悩と向かい合うということが一体どういうことなのか――心のおパンティを脱がぬまま、己から漏れるものを否定したまま、解き放ってしまうとどうなってしまうのか……想像がつくでしょう!」
「…………」
己から漏れるものを否定したまま、解き放ってしまうと……想像が、つく。
目の前の汚い光景からの逃避も手伝って、ふと俺の脳裏にはお袋と喧嘩したあの日の言葉が過ぎっていた。
――産まなきゃ良かった。
――産んで欲しくなかった。
己から漏れるものを否定しながら解き放ってしまった言葉。
「それは……心を脱げってことで、前にも言ってた解脱……?」
俺がそのワードを口にするとアキラはなにやら嬉しそうに目をぎらぎらと光らせ、アキラ子というキャラを忘れた低く暑苦しい声で念押しする。
「わかっているな、禅! そう、解脱とは! 自らを《解》り、心を《脱》ぐと書く! どちらかが欠けてはいけないのだ!」
「はあ、そうですか……でも身体に服は着ろよ」
説法はこれで四度目だろうか。
俺はようやくアキラの言っていることを、ほんの少しだけ理解できた。
お袋が出て行ったとき、俺は……気持ちが解らないまま怒り散らした。
汚れた感情で、言いたいことが見えなくなっていた。
あの時、俺は上手に漏らせていなかった……。
何を伝えたいのかすら、自分で解らなくなっていたし、心を脱げていなかったのかもしれない。
*
最初は「いくら留年小僧でも高校生を深夜帯まで働かせられない」と言っていたママだが、あまりの盛況ぶりとアキラの暴走により、俺は深夜一時まで酷使された。
これからも店はまだドンチャン騒ぎが続くようだったが、俺は明日の起床時間を理由に、ようやく魔窟から脱出した次第である。
望粋荘はすっかり静まり返っていたので物音を立てないように寝支度を整えると、俺は布団に横になり――起き上がった。
何を健康的にスヤァと眠ろうとしているのか、俺は。
覗かねばならん。
俺の秘境を。聖域を。
睡眠時間に代えても!
そそくさ。
物音を立てないように壁の穴へ這い、フタを取り除くと薄い光が漏れ出す。
向こう側は、常夜灯の控えめなオレンジ色で満たされていた。
寝ちゃった……のか?
そう思いつつ狭い視野の中で優月の姿を探した。
――立っていた。彼女は鏡台の前に立っており、じっと己の姿を見ていた。
セーラー服姿。
俺が、ラブホテルで買ったあの安っぽいやつ。
思わず舌なめずりなどして瞳孔と口と鼻の穴を目いっぱい広げると、俺は全身全霊で息と気配を殺した。
薄く鼻歌を歌いながら彼女はスカートの裾を広げ、鏡にご機嫌とりでもしているように微笑みかけては違う角度を見せている。
「女学生と間違えられてしまったりして……ふふ、ごきげんよう」
と、時代錯誤で痛々しい独り言を口にしていた。
…………。
俺は今、見てはいけないものを見ている。
ツンケンした優月が、人のことを散々見下して暴言を吐いている偉そうな優月が……夜中に鼻歌を歌いながら一人でコスプレを楽しんでいるだなんて。あのセクハラセーラー服を大事に持っているだなんて。
どうしてか恥ずかしさが込み上げてきて、しかし当然俺が目を逸らすわけがなかった。
むしろ、俺が望んでいたのはこれだ!
こういうのを待ってました!
秘密を一方的に知る、悪いことだと思っていても相手が相手だ。
そう、仕方無い。
あれこれと難しいことを思い出して、ダウナー気味になっていた俺のテンション、そして下半身がビキビキと上向きになる。
変態優月め……お堅い面してるワリに結構そういうの好きなんじゃ――。
「禅……」
ぼそりと優月が呟く。
俺は見つかったのかとのけぞったがそうではないようだった。
再び穴に目を凝らしていると、優月はさらに宛てもなく呟いた。
「禅……くん」
はい……。
「う~ん……禅、ちゃん」
優月さん……。
「……禅」
……優月。
「ぅん……その、いつもすまない……じゃない、可愛くないな……ごめんね。ごめんねって……言う、次は。もうちょっとだけ優しく、する。ちゃんと向き合わないと……恥ずかしいけれど」
…………。
俺はこれ以上とない丁寧な手つきで覗き穴のフタを閉じると布団にダイブした。
自分の中から飽和して漏れ出すものが暴走しないよう、薄い掛け布団を丸めて身代わりとして、両手両足で羽交い絞めにする。
陽子、吉宗、すまんがやっぱり俺は年上派だ……。
そういう生き物だったんだ!
――優月さん優月さん優月優月優月ッ!
ばかばかばかばかばか!
薄壁一枚向こうでそんなことしやがって! 俺がこっそり覗いてたらどうするんだ!
俺は意を決して、ティッシュの箱を枕元に引き寄せた。
そういう生き物だから。





