2話 1年の後に少年は語る
この物語では人がアルファベットで喋ってますが英語でも、ローマ字でもないです。適当では無いけどあくまでも意味不明の言語として、とらえてください。
「...寒いし。」
今度は見覚えの無い木造の天井が見える。どうやらまた死んだ訳では無いようだ。記憶がダブっていないし、体も赤ん坊の物ではない。いや、もしかしたら元の記憶が消えたのかな?
「oy?mgsmetnki?」
...なんて?
身振り手振りでどうにか現状を少し理解出来た。母さん、声でなかったから分かんなかったけど言葉が通じない問題があったとは...。とりあえずこの人はソフィアと言うらしい。なにやら本とペンを持ってたし、学者か何かなんだろう。歳いってるし。部屋が寒いのは俺の右の肩から、頬の半分程までの火傷を見て火を嫌がると思い暖炉を灯すのを遠慮した様だ。めっちゃいい人だな。寒いけど。
あの焼け跡から這い出して、俺が森で体力作り的な生活をしていたのは1年程の様だ。暦は元の世界とそっくりだった。まぁ、7日程多いけど。12で綺麗に分割したようだ。惑星軌道丁度良すぎだろ。
とりあえず12歳のガキが生活出きるわけもない。現に森でぶっ倒れていたのを拾われた様だし。...犬みたいだな。どうやら泊めてくれる様だし、お言葉に甘えよう。いや、言葉は通じないんだっけか...。割と不安になるもんだな。身振り手振りじゃ限度もあるし。でも、全く新しい言語を翻訳も無しに覚えるのは少々無理がある。俺はあまり頭が良いとは言えないんだ。とりあえず挨拶と「ソフィアばあちゃん」って単語だけでも覚えるか。
部屋と服なんかを貰った。部屋は元々は荷物置き場だったようで少なくない荷物があった。裏の納屋に運び込むだけで1日仕事である。翌朝には家具も買い込み設置した。なんか家族って言われてるみたいで嬉しい。
11を越えて家族がいたことの無いのも寂しいがその時には手を差しのべてくれる大人がいるのは本当に嬉しい。話が出来ればもっと良いのにとは思うが贅沢は言っていられない。
とりあえず体力はつけておいて損はない。あの「火狂い」がなんで燃えている母さんに馬乗りになって平然としていられるのかも調べなきゃな。手掛かりはアイツの言ってたアラストールって単語だけだが。そう考えるとアイツ、あの時前世の言葉で喋ってたんだな。もっともアイツと話すことは無いけど。
「おはよう、ソフィアばあちゃん」
覚えたての挨拶をしながら階段を降りる。合ってるといいが。
「おはよう、buy。cuskhdusr?」
嬉しそうに挨拶を返してくれるばあちゃんは台所、俺、食器を指差す。どうやら朝食について聞いてるようだ。いつも言われるbuyは俺の事かな?俺、自分の名前知らんけど。
「aa、suiebasthankgkrhn。nkyknrrksr?tnsmn。」
頭を下げて朝食を食べていると、ばあちゃんは何か嬉しそうに喋っている。うーん、言葉が通じないのがここまで不便とは...。なんか距離感じるなぁ。
「sutkmrb、tbmnokitsnitn。buy!ttdttkrrki?」
手招きと財布とドア?なんかの買い出しかな。
母さんの唯一の形見とも言えるデカいマフラーで火傷を隠し、デカい屋敷から出て徒歩30分程度の町に着いた。デカい壁とデカい城と大量の人がいるし、王都かな?ここなら情報も集まりそうだし都合がいい。つかデカいな、いろんな物が。もしかしてばあちゃんって実は大物だったりするんだろうか。5日は一緒に暮らしているが分からん。文字も教えてもらってはいるが、分からん言葉に直せるだけで意味は分からない。前世の言葉に語調は近いし、覚えるのは難しく無いんだがなぁ。
「ot?ソフィアsnjnik!mtkdkrthmezrsin。nnkattank?」
「knmeh、kgnhitttnnddkdr?kuhskruhns。yskstkry。」
「ka-ソフィアsnntnmjktwrney!omkstkz!tkrdknmenkghskn、buynki?」
次々流れる会話に置いていかれていると急にいつものbuyと一緒に視線が向く。いや、なんて?てか、そのbuyってやっぱり俺なの?困り果ててばあちゃんを向くと少し困った様に笑ってばあちゃんが店主らしきおじさんに振り替える。あの、何気に傷つくんですが...その笑い...。
「gmnnsin。knkmrnitndkdktbgwkrnimtid。sbrkthdkrny?」
「wkark。antmktkumnzkdyn。ma、skgsknndkdn!」
「odttmtikhkwniy?」
「znnn!」
笑い会う二人を眺めつつ店の商品を購入し、支払いをする。数字だけは分かっているので支払いは出来る。数学は共通なのは安心した。今日の出来事を嬉しそうに話してくれているであろうばあちゃんに相槌を打ちつつ、ナニカが欠けている半人前の俺はこの人は何をあんなに楽しそうに話しているのだろうと今日を振り返っていた。
次回、「巻き起こる騒乱」
お楽しみに!