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滅炎の復讐者  作者: 古口 宗
第一章 新しい世界 新しい人生
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1話 続いていく少女と交差する因縁

時間かかるといったな。あれは嘘だ。(奇跡)

という訳で物語のスタートです。思ったよりも予定がスカスカだったんですね。ゲームのイベントとか、学校の予定とか、クリスマスの個人的な予定とか( ;∀;)。

1章終わるまではこの速度で行けます。(確信)

(ここはどこなんだろう?私は確か部屋で火に...っ。)

 私の目覚めは最悪の記憶と共に訪れた。少し吐き気を感じる。黙っていると周囲が騒がしい。


「産声をあげないぞ...。」

「まさか、もう...。」

「おい、滅多な事を言うな。侯爵様の家だぞ。」

「しかし、これは...。」


 あれ?これもしかしてヤバい?私の事だよね?見られてるし...。でも、呼吸してるんだけどな。吐きそうだから、口開けないだけで...。


「失礼、少しいいですかな?」

「ナイアース伯爵!何を!?」


 ちょっと待って、あの人なんでタバコみたいなの持ってるの?具合悪い人に近づけるものじゃ...。






 その後で咳き込んで、吐いて、泣いた。これが多分私の前世である渚涼風(なぎさ すずか)の記憶を持つ、私エレシア・セメリアスの生まれた頃、11年程前の話。


「ねぇ、カプラーネ。乙女の誕生が涙ではなく嘔吐物と共に語られるのは酷いものだと思わない?」

「お嬢様、嘔吐物はおよし下さい。小間物、と。」

「下呂と言わない分よいと思いますわ。」

「お嬢様、誕生日の度にこの話は止めませんか?思い出したいのなら別ですが。」


 綺麗な青髪を揺らす少女、カプラーネはナイアース伯爵家から、恩を感じたセメリアス侯爵家、つまり両親が雇ったメイドさんで私の良い話し相手だ。ちなみに15歳で、弟をどっかの意地悪な公爵から法外な値段で買うために頑張っている。去年から通っている、ソフィアおばあちゃん位しか話し相手のいない私にはありがたいし、メイドさんが出入りしているというのは伯爵さんより偉い侯爵の家が仲間だよー、と言っている様なものでナイアース家にもありがたいらしい。お母様が言ってた。


「それに、ケアニス様に聞かれたいのですか?私はうっかり話してしまうかもしれませんよ。」

「...分かりました。やめますわ。」


 ケアニス様というのはケアニス・ナイアース子爵の事だ。私の婚約者...らしい。カプラーネはそういうけどナイアース家の息子との婚約という約束がされているだけなので、ケアニスさんで決定じゃない。ちなみに14歳であり年上の男の子だ。こちらもカプラーネが話し相手を務める、まぁ私のお兄ちゃん?みたいな人だ。こんなこといったら、怒られるけど。

 ちなみに爵位は上から侯爵、伯爵、子爵、男爵で子供は親の一個下の爵位らしい。つまり私は、私にキセル吹き掛けて命を救って(皆の認識)リバースさせてくれちゃったナイアース伯爵とおんなじ爵位だ。怒っても良くない?まぁ、皆に命の恩人に何て事をって怒られるからやんないけど。私の方が偉い訳じゃないし。あ、公爵は王様の家族だけらしいから一番偉いし、子供は侯爵どまりらしい。でなきゃ、公爵増え続けるからダメなんだろう。カプラーネが言ってた。

 前世に未練はあるけど一家丸ごと燃えちゃしょうがない。静葵(しずき)君がなんでうちに来たのかとか、お父さんとお母さんは無事かなとか、いろいろあるけど、堅苦しくてお勉強がきついのを除けば幸せな暮らしに違いないし、火に気を付けながら一生懸命生きていこう!










 燃え盛る炎を眺めて思う。なぜ僕は動かないと。母さんが男の人に馬乗りに首を絞められている。不思議なのは燃えている母さんの上にいる男の人が燃えていないことだ。妙に記憶に残る声と肌をなめる炎が脳を震わせ、記憶がフラッシュバックする。


「あぁ、炎よ。貴方は美しい。」


 その声に言い様のない怒りを覚える。今はその理由が分かる。俺はこいつを知っている。声を失い、たった一人で四苦八苦していた。11歳になる今まで俺を身振り手振りで育ててくれた、笑顔の絶えない母親。その仇なのは目の前の光景の通りだ。だけどそれだけじゃない。俺を殺しあの娘を殺したこの男を、炎に包まれる様な事を自ら行うこの火狂いを、俺は知っている。


「さて、子供をどこに、隠したのか。せっかく、共に炎を浴びても、少しは持つ程、育つまで、待ったのだから、焼きたいなぁ。我が子よ、出ておいで。」


 はっ?こいつ今()()()って言ったのか?俺の事を我が子って...。母さんはこいつに怯えてたぞ?


「うーん、私の子供は、死んで、しまっていたのかな?やれやれ、せっかく、頑張って、追いかけて、母親にして、あげたのに。私を思い出す、子供が憎かったのかな?。それとも、子供一人、育てることも、出来ないのかな?。」


 殺してやりたい。

 今ここでこいつを。

 その口で母を語るこいつを。

 しかし、半人前の俺はこいつを殺せない。


「帰ろうか、アラストール。我が美しい炎よ。」


 炎の音と薄れる空気の中、壁の中の狭い隠し部屋に隠された俺の視界は赤と黒に染まっていった。

次回、「1年の後に少年は語る」

お楽しみに!

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