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滅炎の復讐者  作者: 古口 宗
第二章 アルの物語
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14話 獣人と魔人

「魔術じゃない?てめぇ魔人か!?」

「まずいんじゃないか?魔人のガキだなんざ聞いてないよ。」


 魔人?聞いたことの無いことばかり言われる日だな。こっちは今朝のこと悪魔談義したばっかりなのに。最近反復練習しかしてないから、詰め込み勉強はキツイんだけどなあ。


「魔人、ねぇ。あんたらは随分籠った村に住んでたんだね。」

「婆さんにゃ関係ねぇだろ。おい、魔人のガキ。そのちっこいのでなにするつもりかしんねぇけどよ。引っ込めな。大方アーツだろう?そりゃ。マナを使わずに魔術を使う力か?だとしてもアーツを選ぶんだ。魔力不足で選択肢が無いんじゃないか?なら、それは大層な効果は付与できてねぇだろ。俺達相手にガキ一人じゃ無理だぜ。」


 魔力不足なのはそうだけど他が違うな。いや、大層な効果は付与できてないけどさ。


「じゃあ帰ってくんないかな?俺だってどうこうできるとは思ってないし。」

「ふん、断る。お前の代償のことなんざ知ったことかよ。早く悪魔の心臓を寄越しな。」

「代償?あーもう、お前は説明文のないウィ○○ディアかよ。」

「ちっ!また、訳の分からんことほざきやがって。もういい。力強くで聞き出すぞ。」

「やっぱりこうなるのか。ズボラなんだよな、お前の計画とやらは。サボりたいのにさ。」


 フードの方がやる気無さすぎだろ。まぁ、こっちとしては助かるのだが。


「アル君、魔方陣を探してくれるかしら?壊せればあの人達は私が捕まえるから。」

「一部を消せばいいんだよね?了解。」

「作戦会議はすんだかよ?行くぞ!」

「今すんだよ。せっかちさん!」


 俺のチーターから飛び出した銃弾が狙い通りに獣人の男の足下を撃ち抜く。それと同時に俺とばあちゃんは近くの建物に走りだした。ここは廃村らしく隠れる物に困らない。


「うおっ!?地面が爆ぜやがった!あいつの悪魔の力か?」

「アル君それは?」


 向けられる疑問はスルーして、ソフィアばあちゃんをおぶったまま駆ける。建物の中に入り、ようやく一息つく。


「これは、自動拳銃っていって、金属を高速で飛ばす道具。ちゃんと暴発も狙いが逸れることもないように作ってる。そんなことより、今は魔方陣だよ。ばあちゃん。」

「...そうね。アル君、頼めるかしらね。」

「任せて。壊したらまた、これ撃つよ。空に向けてだけど。」


 取り替え納得してくれたソフィアばあちゃんにエレシアには内緒だと告げて魔方陣を探す。とはいっても魔力でマナを捕まえて引っ張られる方向にいくだけだけど。


「っと、地下室か?」


 どうもマナを集める魔方陣は地下室にあるらしい。薄暗い地下室は金属に囲まれており随分凝ったものだと分かる。


「これ、村人のもんじゃないだろ。想像もしたくないような貴族の道楽って奴かな?まぁ、隅の方の焦げ跡見りゃあ想像ついちまうけどさ。」


 俺と同じように火傷ですんでりゃいいけど等と考えつつ、マフラーの上から右頬の火傷をなでる。その時、後ろで物音が聞こえ俺はチーターを構えた。


「おー。耳いいね少年。」

「バカ!お前が座っているからだ!立ち上がる時はあれほど音を立てんなと!なんのためにこの焦げクセぇ所で耐えてたんだよ!」


 あの後先回りされてたのか。どうやってだ?魔術か?


「なんでってお前が「奴は土の属性持ちの悪魔の契約者と見た!地面が無いなら爆発もしないはずだ!」とかドヤ顔で言い張ったからだろ?急いで走るお前に追い付くの大変だったんだぞ?」

「そんなのんきなこと言えんのはお前が鼻きかねぇからだろーが!」

「うるさいなぁ。とにかく入り口を封鎖して閉じ込めるんだろ。はやくしろよ。」

「言うなよ!作戦がばれるだろ!」

「バカじゃなきゃ気付いてるよ。」


 そう言ってフードの誘拐犯は階段を登りかけていた俺の足にロープを鞭の様にしならせて絡め、引っ張る。有利な地形に陣取れなかった俺が舌打ちしたときには獣人の誘拐犯は俺に肉薄している。


「まず一人!」

「残りはフードだけか?」


 奴の爪が俺に迫り、赤が地下室の空気を彩った。

 俺がチーターを持つ右手をフードの誘拐犯に打たれるのと、獣人の誘拐犯が撃たれた腕を押さえたのは同時だった。


「外れみたいだな。地面が爆ぜた訳じゃないらしい。」

「こりゃ鉄か?なんでこんな...。」

「嘘だろ?あの距離で避けるのか?」

「顔になんかくりゃぁ、避けるだろ。相変わらず魔人ってのはイカれてんな!おい!」

「「いや、普通あの速度は避けられない。」」


 おっとフードの誘拐犯と揃った。おい、こっち見んな。揃えるな動きまで!あれ?なんかデジャブ。


「へっ!んなこたぁどうでもいい。とっとと縛っといてくれよ。」

「いいけど、魔方陣無事だよな?さっきの鉄がそっちに飛んでったけど。」

「おっと、そいつは確認しなきゃな。」

「俺に見せていいのか?」

「見てもどうにもできやしねぇよ。なんせ燃焼で魔力反応を起こす木材で作った―――」


 そう言うと奴は部屋の奥に合ったカーテンを開け―――


「自動魔方陣だからなあぁぁ!?」


 見事に煙のみをあげる自動魔方陣とやらを見て絶叫した。

次回、「解決、誘拐騒動」

お楽しみに!

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