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異世界七不思議  作者: 二ビル
第一章 神秘の時代
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有翼人


 暗い、黒い、凍えるような寒さの中に、意識だけが閉じ込められている。

 死後の世界を知りたくて自殺したはずだった。気が狂いそうになるほど長い時間一人でいる。1日?1ヵ月?10年?時間感覚が何も分からない。これが俺が望んだ死後の世界だったのかと何度も振り返る。変化があったのはそれからすぐにだった。人の声が聞こえる。……声?俺の名を呼ぶ、優しい音色の女性の声が。その声に意識を集中させる。



 ……確かに死んだはずだ。死ぬ直前の意識が今も鮮明に思い出せる。苦しかった。死ぬ間際まで、馬鹿なことをしたと何度悔いても遅い。どうやら俺は寝かされているようだ。光が目に慣れてきて辺りの状況が掴めてきた。


 いや、――今はそのことはどうでもいい。目の前にいる見ず知らずの女が、寝ている俺を覗きこむようにして、何か言葉を語りかけている。声の主は彼女だったのだろう。女は敵意どころか、こちらを愛おしそうな表情で見下ろしていた。

 

 「■漣ン?(誰ですか?)


 と、声に出していったつもりが、思う様な言葉が口からでなかった。何故上手く声がでないのか。話せないほど重症を負ったのか。それもおかしい。俺は自分の意志で死んだ(・・・)。ではここが天国なのか。なぜ地獄ではなく、天国なのかと思った理由がある。それは――

 女性に、4枚の、深淵のような色の黒い翼が生えていたからだ。普通の人間に羽はない。羽といったら天使。天使を想像したら天国と安易な考えの元、俺は天国にきたと考察した。と、女の顔をよく観察してみるとまだ10代後半くらいの年齢に見えた。


 結果は両方とも間違いだった。


 目が覚めてから6年が過ぎた。あっという間だった。そこでいくつかの事を学び、ここが天国でないことを理解した。

 俺は死んで、転生したのだ。

 それもただの人間ではなく、外見は人間に近い種族【有翼人】として。


 オカルト好きの俺は当然“輪廻転生”という概念を知っていた。

 簡単に要約すれば、死んだら生まれ変わるという。日本で前世の記憶があるという人の話を本やネットで無数に読んだいた。まさか、自分も転生するとは思わなかった。それも、地球ではなく、どこか遠い宇宙にある星の【有翼人】という人種に。俺は歓喜した。死後の世界はあったのだ。

 

 【有翼人】とは――、外見はヒトに限りなく近い種族である。しかし、二点だけ普通のヒトと異なるところがある。背中から生えている2対4枚の翼。それと、頭に巻きつくような、二本の白いつの。夜の闇のような黒い髪から小さな角が覗いている。

 有翼人族は、平均2100歳から最長で3000歳まで生きる長寿の種族。

 非常に穏やかな性格で、“調和”を大事にする種族。

 10歳くらいまでヒトと同じようなスピードで成長する。そこから20前後まではヒトの三倍の時間をかけて肉体が成長。20前後の、一番、肉体が潜在的に高い性能を秘めたところで、体の成長と老化は一旦止まる。

 個体差は当然ある。大体の有翼人は1500歳を過ぎる頃には老化が始まる。


 オカルトが好きな俺は【有翼人】に転生したことに歓喜した。


  

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