第捌話
『でけー』
「全く、セラスは」
闇が晴れたと思ったら、俺の目の前には直ぐには何かわからない程の巨大な門が聳え立っていた。
俺が思わず声を出して呆然としているのに対して、アルテはセラスが最後に言った言葉に対して呆れてため息をついている。
だが、気を立て直しアルテはここについて話し出した。
「さっきも言ったけどここは魔族との国境にある都市でね。
戦争になった時、人間だけじゃなくドワーフとエルフにとってもここが重要な場所になる上、偶に魔族の戦闘狂共や魔獣の軍団が襲ってくることがあるんだよ。
その為、ここの都市はエルフとドワーフと人間の3種族が協力して作り上げたものなんだ。
ここの壁と内側にもう1つ壁があって、2つの壁にはそれぞれ都市を覆うように物理吸収と魔術反射の二重結界が練りこんであるから簡単には壊せない様になってる。
この都市にはまだ幾つもの仕掛けあるけど、その全てを知っているのは私とセラスの他にはエルフとドワーフの王と2種の王に仕える数人。あとはここの都市長だけかな」
『なんでアルテ達は知ってんだ?あとなんで人間ではここの都市長しか知らないんだ?』
普通人間の王様や貴族達が知ってるべきものじゃないのかよ?
「セラスにここを作る際に監視させていたからね。私はセラス以上の隠密技術と空間魔術の両方を極めてる存在は2人しか知らないよ。
それと人間の王侯貴族の連中にこの都市の秘密を知られたら、人間は魔族に対して周りを全部巻き込むような戦争を吹っかけるよ。だから人間には秘密にしているんだよ、このバルリアの力を。
まあここら一帯を占領されたら人間は愚にもつかないことを仕出かすだろうからね。だから、エルフもドワーフもあんな馬鹿気た契約を飲んで都市長にだけ秘密を教えてバルリアを作ったんだ。
いっその事人間を皆で滅ぼしちゃえばいいんだけど、しぶといし、大切な事は学ばない上に直ぐ忘れる癖に恨みだけは忘れない。いつか、えげつないことをするに決まってる」
アルテが最初は自慢気にセラスについて話したが、直ぐに冷めた口調で辛辣に王様達を、人間という種を乏してくる。俺は逸れていきそうな話を終わらせて今後の事について尋ねることにした。
『ごめん、良く分かったからこの話は止めよう。
それよりも、これからどうするんだよ?まだ夜中で門が開いてないだろ。
ここで野宿するわけじゃないよな?』
するとアルテは申し訳なさそうにした後、気持ちを切り替えたのか話し出す。
「ごめんなさい。今度から気を付けるね。
これからは朝まで軽くこの辺りの魔獣を狩るつもり。その時に魔術の練習と戦い方に獲物の解体方法を教えるよ。
これの出来次第で君にも試験を受けてもらうか決めるから。
私としてはCランクになってもらうつもりだから覚悟しといてね」
『は、はい!』
アルテは笑顔なのにとてつもなく嫌な予感というか寒気がする。
もう何度目かわからないけど逃げ出したくて仕方がない。何故かわからんけど確信できる。絶対にアルテはスパルタだ。
「よし、それじゃあ狩りを始めようか!」
俺が怯えてる事に気づいてるのに、アルテの奴はやる気と決意に目を光らせて今まで聞いたことがないくらいに楽しそうに言いやがった。




