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第肆話
アルテは話終えて俺に手で触れてきたと思ったら俺は肉体を持って、自分の手すら見えない程暗い闇の中に佇んでいた。
この暗闇は冬の夜のように身を引き締めるような冷たさと澄んだ空気で満ちていたが、優しく俺を包んでいるかのような安らぎを与えてくれていた。
「ようこそ。私の中の居心地はどうですか?」
声のした方を向くとアルテの姿が闇の中で浮かび上がっていた。
「身の引き締まるとても好きなところです」
「そうですか、それは良かったです。さて、それでは私の手を握って貰えますか?そうすれば、私の魂と貴方の魂が僅かに交わり、私の見ている光景や音が分かるようになりますから」
「分かりました」
俺が彼女の手を握ると俺の何かが凄い勢いでアルテに流れ込み、そして、アルテの何かが流れ込んでくる。
すると言いようのない懐かしさと喜び、そして恐怖と憎悪と嘆きといったありとあらゆる人間に対しての呪詛の念が力と知識と一緒に湧き上ってくる。
そして、俺はアルテの過去を見ることになった。




