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第拾陸話

 スタングレネードを基に作った魔法が上手く嵌まってくれたおかげで、かなり簡単に勝つことができた。

 実際のスタングレネードの効力は慣れるとほぼ効果がないらしいけど、この世界の人達はやられたことが無いし、俺は吸血鬼の体だから地球のモノより数段効力を上げていたのが良かったのだと思う。

 まあ、槍野郎はまともに食らったにも関わらず、何故か俺の行動を捉えていたし、スキルを使って追撃を捌いていた。

 盾野郎に関しては、一撃目は数瞬の間体を強張らせる事しか出来なかった。

 盾野郎が全体を守るスキルを使う前に僧侶と魔法使いを落とす事が出来たから楽に勝てたが、あと少し遅ければ誰も落とす事が出来ず、苦戦したと思う。

 2回目はこの魔法の威力を限界まで上げたお陰で、平衡感覚を狂わせる事は出来た。

 槍と盾の奴には効きが悪かったが、初見の敵には重宝出来る物になったと思っている。実際にキメラ相手にも効果があったし、なにより蝙蝠の様な聴力頼りの敵には効果が抜群だった。


 『あの魔法はかなり使い勝手が良いね。

 だけど、盾の人の様に効きにくい相手もいるから、あまり頼りすぎないように気を付けて』


 「わかった。でも、これを使わなかったらかなり苦戦してたよ。

 初手で全員の動きを封じたお陰で、終始こっちが主導権を握れたのが良かった」


 試験が終わった後、思っていた以上に早く終わったので、軽く街の観光をしながら帰ることを許してもらえた。


 今は観光中に見つけたカフェで、コーヒーとホットケーキに似た物を食べながら、この世界の食べ物や生活に関して興味深く聞いていたが、今はアルテと最後の戦いの感想戦をしている。


 『確かに人数差から始まり、経験不足、戦闘センス、地形等、身体能力以外全て不利な状況だったからね。純粋な戦闘だったら圧倒的な力と再生能力で勝てるよ。

 けど、一撃でも当たれば負けのあれは、君が負ける可能性はあった。特に防御に回ったらその可能性は非常に高かったよ。 

 私の考えていた戦闘とは違ったけど、よく自分が有利になるように動けたね。

 頑張ったね』


 子供にするように褒められて恥ずかしい気もするが、それ以上にアルテに認めてもらえた事がとても嬉しい。

 気持ちを落ち着けようと街に目を向けると、耳と尻尾の色が全く違う犬の獣人が見えた。


 「あの犬の獣人、耳と尻尾の色が全然違って珍しいよな」


 アルテが小さく笑ってから、説明をしてくれた。


 『彼女は犬の獣人と狐の獣人のハーフだね。

 だから、色が違うんだよ。

 耳が狐で尻尾が犬だね。両方の特徴を持った獣人はとても珍しいよ。

 それから、獣人の種族を間違える事はとても失礼な事だから気を付けてね。

 特に犬と狼や、虎とライオンを間違えたら怒られるから。

 あと、一応言っておくけど、豚の獣人にオークと言うのは最大の侮辱になるから絶対に言ったら駄目だよ。

 たまに盛大に酔った冒険者がそれを言って、大怪我をしたりする事があるからね』


 「ああ、そういう事もあるのか。ありがと、教えてもらってなかったら言っていたかも。

 だけど、狐耳とか犬耳とか狼耳とか見分け方が分かんないんだよな。あと、オークって言ったら怒るのは何となく理解できるけど、似ていたら見分けつかないから、見分けられるようになるまで教えてくれ」


 『わかった、教えるよ。

 だけど、オークと豚の獣人は似ていないから一度見ればわかるから安心していいよ。

 それにこれからは大勢の人と関わることになるだろうしね、直ぐに簡単な見分けはつくようになるよ』


 「なんで?」


 『ここは色々な種族のハーフが集まっている都市だし、何より数年出ていなかったCランク合格の冒険者だよ。注目の的にならない筈が無いよ』


 「いや、知っているって言ってもギルドの職員だけでしょ。冒険者の人達ならCランク合格とは知らないだろ」


 『ギルドの職員は実力のある冒険者の情報を共有して待遇を良くするし、冒険者達に大々的に広めはしなくとも隠しもしないからね。情報屋や目端の利く冒険者なら明日には感付くし広がるよ。そうなれば接触してくる人は増えるからね』


 「そうなんだ、なんか気が重くなってきた。人付き合いって苦手なんだけど」


 本気で嫌そうな俺をアルテは笑いながら励ましてくれた。


 『大丈夫、そんなに気にしなくていいよ。大事な場面はちゃんとフォローするから。今はこの街を楽しもう』


 「はー、そうだな。楽しむか」


 明日からの変な不安が出来たけど、ようやく許してもらえた観光だ。

 今は思いっきり楽しむとするか。

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