戦後処理その2
騎士会執行委員長との内通が発覚し、獄につながれていたポット大臣については、今回に限って特別の温情を施すことにした。でも、実情としては、大臣以外にまともな行政官がいないので、死刑にしたくてもできないといったところ。
ポット大臣は、命が助かったことが分かると、頭を地面に擦り付けるようにして、
「ああ、ありがとうございます。このご恩は一生忘れません。今後、一層、カトリーナ様に忠誠をお誓い申し上げるとともに、この国のために身を粉にして働く覚悟でございます」
本心から出た言葉ではないことは明らかだろう。それはそれで構わないが。
「がんばってね。でも、一応、みんなの手前もあるから、罰として、反省文100頁」
「ははぁー。心を込めて執筆するであります」
大臣は深々と頭を下げた。
エレンやドーンには大いに不満があるようだけど、ポット大臣の代わりがいないことは分かっているらしく、不満を表現する以上のことはしない。
騎士団との関係については、「謀反の証拠」という騎士会執行委員長の弱みを握ったこともあり、気分的にも立場的にも、わたしが優位に立っている。執行委員会は、「宝石産出地帯から産出される宝石の30%を騎士団の取り分とする」という「約束」を確実に履行するよう、申し入れを行うくらい。
でも、わたし的には、「約束」した覚えなどまったくない。少し落ち着いてきたら、騎士団との関係を整理しよう。
残された課題として、アーサー・ドーン及びG&Pブラザーズ株式会社の業務を早急に再開しなければならない。わたしは、デモンストレーションの意味も込めて、隻眼の黒龍、メアリー、マリア及び30人のダーク・エルフを連れてミスティアG&Pブラザーズの本部に乗り込んだ。
そして、社員を適当に何人か血祭りに上げ(させ)て、ニッコリと微笑み、
「我が国の緊張状態は解消されました。速やかな業務の再開をお願いしたい」
「わ…… わかった。そのとおりにしよう」
今回ばかりは、さすがのデスマッチも本当に恐れをなしたようだ。大きく目を見開き、首を何度も上下に動かしている。これで、どうにか食糧難も解決するだろう。
それからしばらくして、食糧や日用品等を満載した隊商が列をなして、ウェルシーの町にやって来た。
「ようやく平和が訪れましたなあ。平和とは良いものですね、本当に」
ドーンはしみじみと言った。
「そうね。この平和がいつまでも続くように、祈りましょう」
自分で言うのもなんだけど、「よく言うよ」と…… つくづく、そう思う。




