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会談あるいは決戦の日

 そして、決戦の日。この日は朝から天気がよかった。

 ドーンは機嫌よく、

「いよいよですね。ようやく、ヤツらに一泡吹かせてやることができる」

「そうね。打ち合わせのとおりにするのよ」

 予定では、ウェルシー派遣部隊総司令官(及びその随行)を皆殺しにしてから、騎士会執行委員長を脅して騎士団との共同作戦を約束し、ウェルシー派遣部隊が昼食をとり始めたところで一気に勝負をかけることにしている。まず、隻眼の黒龍、メアリー及びダーク・エルフ航空隊がウェルシー派遣部隊の本営等、指揮系統の中枢を破壊し、次に、空からの支援と、ダーク・エルフ地上部隊による遠距離からの火力支援を受けながら、親衛隊、猟犬隊、騎士団が突撃。予定どおりにうまく事が運べば、戦闘開始早々にも勝負がつくはずだ。

 ふらりとガイウスも執務室を訪れ、

「多分、なんとかなるのではないかな」

 と、楽観ムードは見せていないが、深刻な顔つきでもない。

「なってもらわないと困るのよ。うまくいかなければ、乱戦か持久戦みたいになって、面倒なことになるわ」

「使い魔を放って、敵さんがどんな様子か探ってみたんだ。騎士団は、昨日の夜、勝利の前祝いとかで、遅くまでドンチャン騒ぎをしていたよ。ドワーフ傭兵は、騎士団のような緊張感のない連中ではないが、やはり『先が見えてきた』と少し気が緩んだのか、帰り支度をする者も現れている。大体のところ、こちらの思惑どおりに進んでいると見てよさそうだ」

「そうだといいんだけど……」


 会談開始の時が刻々と近づく。場所は館の中庭。特設会場を設けて行うことになっている。もちろん、本当に会談で合意を目指すわけではない。会場のあちこちに親衛隊や猟犬隊の精鋭が伏せていて、合図があれば、いつでも敵を斬り殺す準備ができている。

 そして、会談開始30分前、

「カトリーナ様! たっ、大変です!!」

 何度聞かされたことか、またまたドーンの「大変」が始まった。

「どうしたのよ。最後の最後まで……」

「マーチャント商会の司令官が随行を伴ってやって来たのですが、とにかく大変なんです」

 ドーンに腕を引っ張られ、館のバルコニーに出て見てビックリ、館の中庭にはドワーフ傭兵が一杯だった。

「これは、一体、どういうこと?」

「このドワーフどもは、全員、随行とのことです。司令官その他の主だった幹部を除き、随行だけで100人。まさか、こんなに大勢で来るなんて……」

 念のために護衛を連れてきたのだろうか。でも、今更引き返せない。ここは、なにがなんでも……

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