表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/96

ラードと元メイド長の最期

 ガイウスも、わたしの傍らから、虜にされたラードと元メイド長を見下ろし、

「要望のとおり、生け捕ることはできたが、こいつらを、一体、どうするつもりだ?」

「決まってるでしょ。死刑以外に有り得ないわ。生かしておいてはロクなことにならないから」

 ラードとメイド長は、見苦しくも、ジタバタと精一杯の抵抗を見せているが、魔力を封じられ、ヒモでグルグル巻きに縛られていては、どうにもならない。

「キィー! このわたしが、こんな小娘ごときに!!」

 元メイド長はヒステリックに叫ぶ。今更謝っても(謝る気はサラサラなさそうだが)許してやらない。

 一方、ラードは急に神妙な態度になり、

「ちょっと待ってほしい。私を本当に殺すつもりなのか?」

「当然でしょ。罪状を挙げていけばきりがないし」

「いや、よく考えてほしい。私の魔法の腕前はあなたも御存知のはずだ。もし、ここで私を許し、臣下に加えることにすれば、あなたにとっては非常に強力な戦力になろう。天下を狙う英雄は、私怨など意に介せぬものだ。きっと、あなたの役に立ってみせる。約束する」


 ラードは必死になって訴えた。プチドラはわたしの腕の中からわたしを見上げ、ドーン、メアリー、マリア、ガイウスも、わたしがどのような判断を下すのかと注目している。なんだか、古典的な中国の某豪傑とソックリな感じも受けるが、それはご愛嬌というものだろう。いずれにせよ、結論は動かない。

 わたしは極めて事務的に、

「死刑。今すぐ執行せよ」

 すると、ラードも元メイド長も、とうとう観念したのか、暴れるのをやめた。

「あの~……」

 マリアが小さく手を上げて言った。

「ハーフ・オークの処刑はお任せしますが、元メイド長は、ぜひ、わたしの手でとどめを……」

「構わないわ。斬首でも絞殺でもなんでもいいわ。方法は任せるから」

 グレートガーデンで何があったのか知らないけど、この機会に恨みを晴らすのもいいだろう。


 ただ、ここは学院内なので、教育的配慮から、死刑の執行は、町の大通りに場所を変え、公開で行われた。腕っ節の強い猟犬隊員を集め、とにかく殴りまくるという方法。マリアは角材を振り上げ、元メイド長の脳天に「これでもか、これでもか」と叩きつけている。少々時間はかかったが、しばらくすると、ラードと元メイド長は完全に息絶えた。

「でも、元メイド長はともかく、ラードはこれくらいで本当にくたばったと言えるかしら」

 わたしは目の前で死刑執行の現場を見ているにもかかわらず(凄惨な場面のはずだけど、見慣れてくると意外と平気)、まだ疑心暗鬼。

 すると、ドーンは「ひっひっひっ」とサディスティックな笑いを浮かべ、

「それでは、ラードの死体をバラバラに切り刻み、ブタのエサにしましょう」

 こうして、毎度お騒がせのラードと元メイド長は、はかなくも短き一生を終えることとなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ