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ラードと元メイド長を虜に

 しばらくすると、激しい炸裂音とともに、市街地の方でモクモクと白煙が上がった。その上空には、ラードと元メイド長が見える。ガイウスは落ち着いた口ぶりで、

「事情を完全に飲み込めたわけじゃないが、とりあえず、あれを捕まえればいいのかな?」

「お願いできるかしら? 無理に生け捕りにする必要はないから、できるだけ迅速に……」

「ははは、お安い御用だ」

 ガイウスが仲間に目で合図を送ると、10人ほどのダーク・エルフがローブを脱ぎ捨てた。槍、トライデント、ハルバードなど、各々が手に得物を持っている。ダーク・エルフは各自の得物に乗り、ふわりと垂直上昇。10メートルくらい浮き上がると編隊を組み、ラードと元メイド長に向かっていく。

 わたしは、その後ろ姿を眺めながら、思わず、

「壮観な眺めね」

「今、飛び立った連中は、特に空戦技能に長けている。すぐに、あの二人を虜にして戻ってくるだろう」


 ガイウスの言うとおり、決着は、あっけなくついた。ダーク・エルフが集団でラードと元メイド長を3次元的に包囲し、何らかの魔法の力によって二人の魔力を封じ、あっという間に二人を光り輝く魔法のヒモでぐるぐる巻きにしてしまった。メアリーが異変を察知し、訓練を中断して空に上がってきた時には、ラードと元メイド長は、かっこわるくも、既に虜囚となっていた。

「すごいね。第1ラウンドで相手をKOしちゃったみたいよ。あなたたちって、本当は、ムチャクチャ強い?」

「いや、こちらの方が数が圧倒的に多かったし、相手も、まさか魔法使いが10人も出てくるとは思わなかっただろう。早い話が奇襲効果だよ。1対1のタイマン勝負で誰からの支援も受けないという条件なら、どうなるか分からないがね」

 ガイウスは満足げに微笑んだ。口ではそう言ってるが、内心では、仲間の技量に相当の自信を持っているのではないか。


 やがて、ダーク・エルフの航空部隊が意気揚々と戻ってきた。ラードと元メイド長は、魔法のヒモでがんじがらめにされ、手も足も出ない。ちなみに、帰りはメアリーも一緒。メアリーは、いつもより生き生きとしているように見える。久しぶりに同族に会えたのだから、無理もないだろう。

 ダークエルフ航空部隊及びメアリーは地上に降り、ラードと元メイド長をドサッと地面に投げ下ろした。わたしは二人を見下ろし、

「ふふふ…… いい格好ね。あなたたち、わたしを『ムチャクチャにする』んじゃなかったの?」

「うるさい!」

 ラードは叫ぶ。(夜店で売っているような)仮面をつけているせいで表情は分からない。でも、悔しさのあまり、顔面が完全に*@!★”#(表現が非常に難しいので)になっているだろう。もちろん、見てみたいとは思わないが。

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