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ザ☆旅行記Ⅵ ウェルシーにおける動乱記  作者: 小宮登志子
第8章 祖国(!?)は危機に
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「救世主」、「助っ人」又は「援軍」

 この際、「救世主」でも「助っ人」でも「援軍」でも、なんでも構わないが、今のこの状況でこちらに救いの手を差し延べようという物好きが、本当にいるのだろうか。

「マリア、なんなの? その『援軍』って……」

「それはですね、え~っと…… ちょっと……」

 マリアは口をつぐんだ。何か、わたしの知らないことを隠しているのだろうか。何となく、そんな感じがする。

 その時……

「『援軍』とは我々のことだ」

 聞き覚えのある声がした。周りを見回してみると、今までどこに隠れていたのか、灰色のフード付きローブにすっぽりと身を包んだ正体不明の一団が、わたしたちを取り囲んでいた。

 灰色ローブの一人がフードを脱いだ。すると、独特のとがった耳と銀色の髪が現れ。

「久しぶりだね。マーチャント商会がウェルシーに傭兵部隊を送ったという情報を得たので、念のために来てみたのだ。お邪魔だったかな?」

 それは、帝都のダーク・エルフのリーダー、ガイウスだった。

 ガイウスに続き、他のメンバーも次々とフードを脱いだ。例外なく端整のとれた顔立ち、美男美女ぞろいだ。

「カトリーナさん! また逢えて、うれしいわ、本当に!!」

 そう言って抱きついてきたのは、クラウディア。

 どうやら、「救世主」、「助っ人」又は「援軍」の正体は、ダーク・エルフだったらしい。


 ガイウスの話によれば、いつものように帝都で非合法活動にいそしんでいたところ、「マーチャント商会に不穏な動きあり」との話を聞き、調べてみると、総勢1万5000のドワーフ傭兵が(猟犬隊の見立ては当たらずといえども遠からずか)ウェルシーに派遣されたことが分かったという。そこで、帝都のダーク・エルフの中でも腕利きの30人を選抜し、「不要なら、それはそれで構わないが、とりあえずは救援に駆けつけた」とのこと。本当にエルフとは義理堅い種族らしい。

「ありがとう、助かるわ。これで形勢逆転よ。作戦の幅も広まったわ。でも……」

 ひとつ腑に落ちないのは、どうしてマリアがこのことを知っていたかということだけど、

「マリア、あなたはガイウスたちが来ることを知っていたの? ひょっとして、あなたたち、知り合い?」

「知り合いではないのですが、1週間くらい前から、町の周囲に強大な魔力をいくつも感じていましたから。敵対的な意志を持っていないことは分かりました。正体が気になったので、先日、実際にこっそりと会ってみまして、その際にガイウスさんから、『しばらくは我々が来たことを内緒にしてくれ』と」

「でも、『内緒に』って、どういうこと?」

「突然現れてビックリさせてやろうと思ってね。それに、事前に少し調べておきたいこともあったから」

 ガイウスは、なんの屈託もない表情で笑った。確かに、ビックリはしたが……

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