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ザ☆旅行記Ⅵ ウェルシーにおける動乱記  作者: 小宮登志子
第8章 祖国(!?)は危機に
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ついに裏切り者も

 日々、状況は悪化していった。マーチャント商会、騎士団、混沌の勢力に加え、食糧難から町に不穏な空気が流れ、近いうちに暴動が発生しそうな雰囲気。もし、暴徒が館に押し寄せてくれば、表現が難しいが、とにかくムチャクチャなことになりそう。

 あり得ないことだが、可能性として、今のうちにマーチャント商会や騎士団に降参して講和を求めれば、命まで取られることはないだろう。しかし、テオドラの「帝衣は最高の死装束」だっけ(着てるのはお気に入りのメイド服だけど)、単に生きているだけなら、死んだ方がマシということもある。


 そして、さらに悪いことに、

「カトリーナ様、大変です!」

 ポット大臣が、書状を持って執務室にやって来た。

「何度も『大変』なことばかり続くのね。今度は何?」

「ブラザーズが我々と『手を切りたい』という手紙をよこしたのです」

 ポット大臣は書状をわたしの目の前に広げた。その内容を要約すると、「今現在、アーサー・ドーン及びG&Pブラザーズ株式会社の業務は停滞している。貴国において産出する宝石の独占販売契約が、当社と貴国の間の契約の本質的要素であるが、現状においては、少なくとも当方において責めに帰すべき事由なく、隊商を組織して宝石を受領することが不可能な状態である。したがって、貴国における緊張状態が速やかに解消されない場合には、当方と貴国との契約の解除をなすべく、あらかじめ、その旨を通告するものである。以上」

 デスマッチには(当然ながら)、身銭を切ってでもわたしを助けようという気はないらしい。窮地に陥った時に救いの手を差し延べれば、将来的に高いリターンが期待できるのに(その分、リスクも高いが)。あるいは、マーチャント商会と裏で話をつけたのだろうか。

 ともあれ、デスマッチは、マリアの言う「救い主」でも「助っ人」でもなかったということ。

「カトリーナ様、もはや勝ち目はありません。今のうちに降参しましょう。命あっての物種です」

 ポット大臣は涙ながらに訴えかけてくる。確かにそのとおりなんだけどね……


 その時……

「カトリーナ様! 大変です!! 裏切者が見つかりました!!!」

 ドーンが猟犬隊員を何人が従えて、執務室に駆け込んできた。そして、ポット大臣の姿を認めると、

「きっ、キサマ! この裏切り者め!! おまえたち、こいつを捕まえろ!!!」

 なんだかよく分からないが、ポット大臣は、あっという間にヒモでぐるぐる巻きに縛られてしまった。

「ドーン、どうしたの? 騒々しいのは今日に限った話じゃないけど」

「カトリーナ様、実は、ポット大臣が事もあろうに敵方と内通していたようなのです。」

 ドーンが胸を張って言った。一方、ポット大臣は顔面蒼白になってブルブルと震えている。

「これが証拠です。ここはひとつ、厳正な処罰を!」

 ドーンは懐から手紙の束を取り出した。

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