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悪いことは続くもの

 マーチャント商会が攻めてこようかという時に、騎士団の連中め、まったく頼りにならないばかりか、次々と面倒なことを持ち込んでくる。先に騎士団を片付けてマーチャント商会の侵攻に備えたいところだけれど、やはり「腐っても鯛」、今は帝国の権威に逆らわないのが無難だろう。

 「出入り禁止令」も、経済活動に悪影響を与えそうなので、あまり出したくはなかったが、この際だから、仕方がない。


 騎士団のデモ行進は、その後も止むことはなかった。包囲の輪が、徐々に狭まっていくような感じ。ミーの町への「出入り禁止令」は、猟犬隊を介して、騎士たちにも伝わっているはずだけど、町の手前で停止し、町を取り囲むような形で圧力をかけようというつもりだろうか。

 帝国の法に反するが、路線を変更し、「隻眼の黒龍」と親衛隊で今のうちに騎士団をスッキリと跡形も残さず片付けてしまいたい気分。違法行為は、裁判所でそう認定されなければ違法にならない。つまり、証拠が残らなければ、なんでもありということ。

 でも、騎士団を殲滅するとなると、カオス・スペシャルを売り出した時と違って、証拠隠滅は困難だろう。仮に実行するなら、どこかに穴を掘って死体を埋め、騎士団が全員、行方不明になったことにするくらいだろうか。ただ、それも手間だし、討ち漏らしたら大変だし、騎士たちを一網打尽にできたとしても、騎士の友人や親類縁者等々のつてを経て、いずれは露見するだろう。

 そんなことを考えていると、不意に、執務室のドアが開き、

「カトリーナ様、大変です!」

 いつものように、ドーンが飛び込んできた。

「大変って…… 今度は何が大変なの?」

「とにかく大変で、この前よりも、もっと大変なのです。混沌の勢力が、再び宝石産出地帯に!」


 悪いことは続くもので、今度は、混沌の勢力が宝石産出地帯に大挙して押し寄せたとのこと。しかも、現地の司令官の話によれば、「斬りつけて傷を負わせても、痛みを感じていないかのように反撃してきたり、前の者が倒れると、その後ろの者がすぐに死体を踏み越えて攻撃してきたりして、感覚や恐怖心などが麻痺しているように見え、まるで狂人を相手にしているようだ」という。カオス・スペシャルの時の話と同じだけど、混沌の勢力は今回の侵攻では(どこかに隠していたのであろう)カオス・スペシャルを使っているようだ。全く根拠はないが、ラードが背後で糸を引いているものと思われる。多分、間違いない。

「今のところは持ちこたえていますが、このままでは撃破されるのも時間の問題ということです」

 ドーンはオロオロして言った。

「猟犬隊から増援部隊を出しなさいよ。宝石産出地帯を取られたら商売できないわ」

「了解しました。仰せのとおりに」

 ドーンは駆け足で執務室を出た。

 マーチャント商会、騎士団に続き、今度は混沌の勢力。この三つを同時に敵に回すのは、常識的に考えれば、かなり厄介なことだが……

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