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総合商社開業

 騎士会執行委員会は、一応、追い払うことができた。しかし、あの連中、今後も大人しくわたしの言うことをきくことはないだろう。この後も、なんやかやと理由をつけて、要求書を出してきたり団体交渉を求めてきたりしそう。早く屈服させないと、きりがない。騎士団を黙らせる方法を考え出して、今度、帝国宰相に何か頼まれることがあれば、そのバーターで、認めてもらおう。

 こんなことを考えながら、執務室の椅子にもたれてまどろんでいると、ポット大臣が現れ、

「カトリーナ様、G&Pブラザーズの社長がいらっしゃいました。『直接、話をしたい』とのことですが、いかがいたしましょう」

「デスマッチが? いいわ。通して」

 ポット大臣が一礼して執務室を出ると、入れ替わりにデスマッチが入ってきて、

「開業の準備ができたぞ。会社組織を整え、いくつかの町には支店も作った。細かい調整が済めば、いつでも開業できるぞ。あと、開業準備に掛かった経費はこちらで立て替えておいたので、そちらにも応分の負担を願いたい」

 デスマッチは一気にまくし立てた。なんだかスッキリしないような顔つきで、「義務なので仕方がなく」といった感じ。もともと、営業許可を受けることは無理と見て、「契約締結上の過失」による損害賠償で、わたしから小金をせしめるつもりだったのかもしれない。でも、今は立場が逆転。仮に設立がポシャったとすれば、反対にデスマッチが損害賠償を支払うことになる。


 設立登記はミーの町で、当然のようにすぐに済んだ。これにより、わたしとG&Pブラザーズが50%ずつ出資する「アーサー・ドーン及びG&Pブラザーズ株式会社」が正式に発足した(これは、「アーサー・ドーン株式会社」の登記を流用し、商号、資本金、役員等を変更したもの。ドーンには内緒だけど、多分、忘れているだろう)。

 また、開業準備費用については、最終的には折半とすることで決着し、一次的には会社の利益から支払うことで合意した。


 その数日後、大通りにて、

「ようやく来たわね」

 アーサー・ドーン及びG&Pブラザーズ株式会社の大規模な隊商が列を成し、ミーの町にやってきた。この町で食糧を下ろし、宝石を積み込むことになっている。今回は第1回目なので、荷物の積み下ろし等には、一応、わたしも立ち会うことにした。

「本当に大丈夫でしょうか。マーチャント商会が黙っていないかも……」

 ポット大臣は、わたしの隣で恐る恐る積み下ろし作業を見守っている。先日、「マーチャント商会に絶縁状を送った」という話をすると、大臣は気絶してしまったが、戦闘力だけが問題なら、多分、大丈夫だろう。こちらには隻眼の黒龍とエルフ姉妹がいる。たいていのことには対応できるはずだ。

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