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ザ☆旅行記Ⅵ ウェルシーにおける動乱記  作者: 小宮登志子
第5章 帝都の下水道網
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調理方法

 食材は手に入った。とにかく、こんな「くさい」ところからは一刻も早く退散しよう。ガイウスも同じ考えのようだ。

「歩いて戻る気にならないな。テレポーターのところまで、一気に飛ぶぞ」

 それほど重要な話ではないが、ダーク・エルフの魔法にも得手不得手があるようで、テレポートの魔法を使えるのは、ガイウスともう一人の男性エルフだけらしい。残りのメンバーは(わたしも含め)、その二人のどちらかにつかまり、一緒にゴミの散乱した四畳半まで連れていってもらった。


 こうして、無事に目的達成、任務完了。わたしたちは屋敷に戻り、とりあえず、お風呂に入って体を洗うことにした。手伝ってもらったお礼というわけではないが、ガイウスたちダーク・エルフにも屋敷の風呂場を無料開放。使用人や駐在武官には「エルフ・カンパニーの取締役で大切な取引相手だから、くれぐれも粗相のないように」と厳命し、ダーク・エルフにも「二の腕の刺青だけは絶対に見られないように」ということで。

「ありがとう、いろいろと助かったわ」

「いやいや、大したことじゃないよ。うまくいけば、『すべてのエルフの母』を救出することにもつながるからね。それに、風呂まで貸してもらって、久々にリフレッシュできたよ」

 上気したガイウスが言った。屋敷のお風呂は、なかなか好評のようだ。

 なお、今回の一件によって、使用人も駐在武官も、ガイウスたちの存在を知ることになった(「ダーク・エルフ」ではなく、「エルフ」と思っているが)わけで、そうであれば、これまでのような形で地下室に隠れている必要はなくなったかもしれない。どうするか、そのうち考えることにしよう。


 持ち帰った食材は、屋敷の台所の片隅でしばらく保管することにした。ブラックスライムはまだ生きているが、しばらくはエサをやらなくても大丈夫とのこと。甕にフタをしてカギをかけておこう。トログロダイトの尻尾の保存方法が問題だけど(冷蔵庫のような文明の利器は存在しない)、それもすぐに解決した。ダーク・エルフの冷却魔法により氷漬けにし、温度変化の少ない涼しいところに置くことにした。長期間保存するわけではなく、2日や3日程度なら、なんとかもつだろう。

 また、調理はクラウディアにお願いすることになった。使用人の誰も、ブラックスライムやトログロダイトの調理法を知らないし、特に、ブラックスライムは、魔法で麻痺させておかないと、躍り食いの場合には食道にピッタリ張り付いて、反対に体の内側から食べられてしまうとのこと。ツンドラ候ならブラックスライムにとって食べ応えがありそうだ。また、トログロダイトの尻尾は、パラパラと塩をまぶして、サッとゆでれば、素材の味を活かした隠れた珍味になるとか……

 ともあれ、これでツンドラ候と帝国宰相を屋敷に迎える準備ができた。悪食のツンドラ候のことだから、きっとモンスター料理に食いついてくるだろう。目の前にゲテモンがぶら下がったツンドラ侯は、それこそ「無敵」。いくらニューバーグ男爵が「既に予定が入っている」と反対しても、聞き入れないだろう。

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