表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ☆旅行記Ⅵ ウェルシーにおける動乱記  作者: 小宮登志子
第5章 帝都の下水道網
47/96

ブラックスライムの巣

 やがて、わたしたちは、教室程度の大きさのホールに出た。ここでは二つの排水溝が一つに交わっていて、その部分は小型のプール状になっている。ガイウスはその中をのぞきこみ、

「いたいた。ブラックスライムがうじゃうじゃと」

 見ると、黒っぽい水面には……というか、その黒っぽいものそのものがブラックスライム。プールの表面の大部分をブラックスライムが覆っている。

「それじゃ、始めましょう」

 クラウディアはひしゃくを持ち、表面のブラックスライムをすくい取り、甕に注ぎ込んだ。もう少しドロッとしたものを想像していたが、粘性はそれほどではないようだ。他のダーク・エルフたちも、同様にして、甕をブラックスライムで満たしていく。難しい作業ではなさそうだ。わたしも「ブラックスライムすくいに挑戦」と思ったけど、残念ながら、ひしゃくがない。

 クラウディアは、「まあまあまあ」とわたしをおさえ、

「カトリーナさん、ここは、わたしたちがしますから、これとは別に……え~と、あの~、とりあえず、休憩していてください。簡単そうに見えますが、油断していると、意外と危ないこともあって、すくうにもコツがいるのです」

 わたしは戦力外らしい。仕方がないので、「少しばかり下水道の探索を」と思って、第一歩を踏み出そうとすると、

「手持ち無沙汰だからといって、散歩はダメだから。下水道で迷ったら、それこそ……」

 プチドラは、小さな腕を交差させ「絶対にダメ」のポーズ。

「そうね。やっぱり、やめましょ」

 方向音痴のわたしのことだから、散歩に出たら必ず迷うはず。そうなると、命にかかわりそうだ。


 しばらくして……

 突然、ダーク・エルフは作業をやめ、足元にひしゃくを置いた。

「どうやら、湧いてきたようだぞ!」

 と、ガイウス。わたしには何が何やら分からないが……

 しばらくすると、キィッキィッキィッという高い声が響き渡り、わたしたちが入ってきたのとは別の通路から、背の低い、トカゲのような二足歩行の生き物が、次々と、ホールに踊りこんできた。

「これがトログロダイトなのね」

 なんとなく学問的興味でもって、初めて遭遇した生き物に見入っていると……

「それじゃ、斉射」

 背後からガイウスの声が聞こえた。その声を合図に、魔法の矢(魔法のエネルギーをロケット状にしたもので、それなりのダメージを与える)が雨あられのように降り注ぐ。そして、一瞬のうちに、トログロダイトの一団は全滅してしまった。なんともすごい。本気で親衛隊にスカウトしたいくらい。

「これで、食材がそろったわけだ」

 ガイウスは、トログロダイトの尻尾を何本か切り取って言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ