食材収集隊
ガイウスがクラウディアに何やら耳打ちすると、クラウディアは何度かうなずいて立ち上がり、(わたしが入ってきたのとは)反対のドアから風のように走り去っていった。
「どうしたの???」
「別に深い意味はない。帝都の下水道でスライムを捕獲するとなると、それなりに準備が必要だからね」
「準備?」
「今のところ、我々としては特にしなければならないことはない。つまり、ひと言で言えば、ヒマなわけだ。だから、食材の収集くらいなら、手伝おうかと思ってね」
「ありがとう、それは助かるわ」
「いやいや、お礼を言われるほどのことじゃない」
エルフは義理堅いうえに人が好い。世間的には、賞賛されるべき美点であろう。わたしには、とても真似のできないことだ。
しばらく、ガイウスと話をしていると、
「お待たせしました」
と、クラウディアが戻ってきた。その後ろには、応援であろう、ダーク・エルフが3人(内訳は男性2人、女性1人)、大きな甕と人数分のひしゃくを持って、ついて来ている。
「用意ができたようだな。では、行こう」
ガイウスは立ち上がり、反対側のドアから地下道に出た。わたしはプチドラを抱いてガイウスを追う。そして、クラウディア以下、仲間のダーク・エルフがゾロゾロとその後に続いた。
おそらくはガイウスの魔法であろう、光の球がわたしたち一行を先導するように、ガイウスのすぐ前をフワフワとただよっていく。この地下道は、確か、皇帝のタマを取りに行くときに通った道。ということは……
果して、地下道はしばらく進むと行き止まりになっていて、床には魔方陣が描かれていた。
「さあ、みんな、この魔方陣の中へ」
ガイウスがわたしたちを招く。
ただ、クラウディアは、「うーん」と首をかしげ、
「でも、一度に全員テレポートできるかしら。二回に分ける方が……」
ガイウスは指差し確認で人数を数え、
「全員で、6名とプラス1のミニチュア版ドラゴンか。これくらいなら、多分、大丈夫だろう」
なんだかエレベータの定員みたいな気もするが、ともあれ、全員が魔方陣の中に収まると、ガイウスは二言か三言、短い呪文を唱えた。すると、この前と同じように、周囲はまばゆい光に包まれた(わたしは思わず目を閉じる)。
でも、この前と同じということは、テレポートして行く先は……
「うっ!?」
わたしはメイド服の袖で口を押さえた。目を開けると、やはり、ゴミが散乱した四畳半、ドブ川か家畜小屋が近くにあるような異臭が漂っていた。




