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ザ☆旅行記Ⅵ ウェルシーにおける動乱記  作者: 小宮登志子
第4章 総合商社営業許可
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開業のため必要なこと

 エレンが気を利かせて応接室を出ると、デスマッチは言った。

「この際、まどろっこしい挨拶は、なしにしよう。この前から懸案になっていたことだが……」

「懸案……というと、もしかして?」

「捕虜の交換の話じゃないぞ。総合商社の話の検討が終わったので、結論を伝えにきたのだ」

 捕虜の話って…… 口に出さなければ、多分、思い出さなかっただろう。デスマッチは、結構、律義な性格かもしれない。

 デスマッチは話を続けた。

「社内で検討したところ、我々としては、その話には乗っても良いという結論に至った。1ヶ月もあれば、人員の確保、支店網の整備など、こちらとして可能な準備は整うだろう。ただ、問題は、この前も言ったように……」

「帝国政府の営業許可のことかしら?」

「そうだ。他のことならなんとかなるが、こればかりは、平民の我々では、どうにもならん。言い出したのはそちらだ。当然、成算はあるのだろうな」

 デスマッチは鋭い眼光でわたしをにらみつけた。そもそも、素人的に、なんとなく思いついただけのこと。成算など、あろうはずがない。でも、こちらから言い出したからには……

「営業許可は、わたしがなんとかするわ。あなたたちは開業準備を始めて頂戴」

「分かった。1ヵ月後の開業を目標に、準備に取り掛かることにしよう」


 デスマッチは、わたしと固い握手を交わし、何やら意味ありげな薄笑いを浮かべながら、帰っていった。

 プチドラは、心配そうにわたしを見上げ、

「マスター、あんな約束をして、大丈夫?」

「大丈夫じゃないけど、なんとかしないと…… デスマッチのことだから、あの場で『許可はもらえない、無理』なんて言うと、『今まで開業準備や調査にかけた金が無駄になった。賠償しろ』と言い出したに決まってるわ」

「でも、一旦『できる』と言ってから、後になって『やっぱりダメだった。ごめんなさい』だと、その方が責任は重くなると思うけど……」

「だから、何がなんでも営業許可をもらうのよ」

「もらえるかな。かなり分の悪い勝負のような気がするけど…」

「もし、もらえなければ…… そうね、その時は、偽造した営業許可証をデスマッチに渡し、偽造が発覚した場合には、こちらは何も知らなかった、つまり、デスマッチに騙されたことにする」

「そんな無茶な……」

「だから、そうならないように、どんな手を使ってでも営業許可をもらうのよ。とにかく、帝都に行きましょう。」

 とは言ってみたものの…… 冷静に考えてみると、営業許可をもらえる見込みは、ほとんどない。どうしたものか……

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