表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ☆旅行記Ⅵ ウェルシーにおける動乱記  作者: 小宮登志子
第2章 商談と団体交渉
12/96

商談開始

 プチドラの火炎放射による先制攻撃で、受付はこの前と同じように修羅場と化した。「なんじゃ、オラ~」、「討ち入りか~」、「なめとんのか~」などと、次々とギルド員が手に手にエモノを持って繰り出してくる。プチドラとメアリーはギルド員を千切っては投げ、千切っては投げ……


 で、そうこうしているうちに、

 「何事だ? 騒々しいぞ」

 そこそこイケメンの男が右手にハンドアックス、左手にメイスを持って飛び出してきた。G&Pブラザーズ代表取締役社長、レオ・ザ・デスマッチだ。

 わたしは手を振って、ニッコリと笑みを浮かべ、

「久しぶりね。元気だった?」

 すると、デスマッチはガックリとうなだれ、

「また、おまえか……」

 と、露骨にイヤそうな態度を表明するのだった。


 デスマッチはわたしたちを社長室に通すと、苦虫を噛みつぶしたような顔をして、

「今日はどんな用件だ? 我々だって、そんなにヒマじゃないのでな。できれば手短かに願いたい」

 デスマッチは御機嫌斜めらしい。無理もないだろうけど……

「いつになく、虫の居所がよくないようね。『笑う門には福来たる』って言うでしょ」

「おちょくりに来ただけなら帰ってくれ。こっちはビジネスの案件を大量に抱えてるんだ」

「ビジネスというと、いつもの非合法活動? そういえば、捕虜の交換の話って、どうなってたんだっけ?」

 わたしは不意に懸案事項を思い出した。今となっては解決不可能の(哀れ、ゾンビ化してしまった)猟犬隊員及びギルド員の交換のことだ。

 すると、デスマッチはうんざりした顔で、

「あのな…… 正直、その話はスッカリ忘れていたよ。そんな話をするために、人の会社の玄関先で大暴れしていたのか? 先ほどの乱暴狼藉は営業妨害だぞ。我々は、今は真っ当な商行為を営んでいるんだ」

「そうらしいわね。あなたたちが合法的な商売を始めたと聞いたから、今日は、『お互いに合法的に儲けましょう』という話をしにきたの。とりあえず、頭をクールダウンさせて聞いてほしいわ」

 わたしとしても、今更、本気で捕虜の交換問題を解決しようと考えているわけではない。

 デスマッチはソファに座り直すと、一つ、大きく息をして、

「うむ、分かった。商談のつもりなら、一応、話は聞こう」

 さすがはデスマッチというか、以前に何度も見たような冷静な表情に戻っている。商売人だけあって、こういう切り替えの早さは一級品だ。

「かいつまんで言うと、そちらで総合商社を設立してはどうかという話なの」

「はぁ? 総合商社だって??」

「そう。マーチャント商会に負けないくらいのをね」

 デスマッチは、どう反応していいか分からないのか、ポカンと大きな口を開けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ