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ザ☆旅行記Ⅵ ウェルシーにおける動乱記  作者: 小宮登志子
第2章 商談と団体交渉
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G&Pブラザーズの受付

 次の日、わたしは隻眼の黒龍に乗って、メアリーとともに、空路、ミスティアに向かった。直接、G&Pブラザーズ本部前に降りる予定。

 メアリーは怪訝な顔で、

「カトリーナ様、ドラゴンが街中に降り立つとすれば、場合によっては、いえ、十中八九は混乱が予想されますが……」

「構わないわ。騒ぎを起こしたとかで怒られても、謝ってしまえば、それでお終いよ」

 そういえば、前回は確かカオス・スペシャル絡み、早い話、G&Pブラザーズへの殴り込みだった。隻眼の黒龍が本部前に降りると、住民は肝をつぶしてどこかへ隠れてしまった。


 果して、今回も同じようなもので、住民は隻眼の黒龍を見ると驚いて家の中に隠れるか、とりあえず逃げるかだった。その際には、おそらく、道で転んだり階段で足を滑らせたりして、ケガ人が多数出ているだろう。

 隻眼の黒龍は悠然とG&Pブラザーズ本部前に降り立つ。

 わたしはその背中から本部を見上げ、

「組織は大きくなっていると聞いたけど、その割に、本部は全然変わってないのね」

「忙しくて建物を気にかける余裕がないのかもしれません。本部に立派な建物を建てようとするのは、腐敗あるいは衰退の兆しということもあります」

 と、メアリー。なるほど、そういうものかもしれない。立派な庁舎でも中身が伴わないのはよくある話だから。

 わたしが隻眼の黒龍の背中から降りると、隻眼の黒龍は体を縮め、子犬サイズのプチドラとなって、ちょこんとジャンプ、わたしの腕の中に納まった。

 そして、プチドラは腕の中から、わたしを見上げ、

「マスター、これからどうするの? 普通に社長に面会を申し込んでも断られると思うよ」

「今までみたいに、ひと暴れしましょ。毎度同じパターンは気が引けるけど、手っ取り早いわ」

「今回もですか。ご命令ならば仕方がありませんが……」

 メアリーはつぶやくように言った。あまり乗り気ではなさそうだ。本当に平和主義者なのだろう。


 ともあれ、わたしは入り口のドアを開け、受付で一言、「社長に会わせろ」。

 すると、受付にいた筋骨たくましい若手ギルド員は、無理矢理笑顔を作りながら、

「面会のお約束はありますでございますか?」

 非常にぎこちないけど、一応、丁寧に応対しているつもりなのだろう。G&Pブラザーズは合法的な商売も始めたということなので、暴力的なイメージの一掃に努めているのかもしれない。

「約束なんかないわ。とにかく、今すぐ会いたいのよ。いるなら出しなさいよ」

 若手ギルド員は、一瞬、眉間にしわを寄せ、鋭い眼光でわたしをにらみつけた。しかし、すぐに笑顔を作り直し(おそらく、怒鳴りたくなるのを抑えて)、のどから声をしぼり出すように、

「そっ、それでしたら、申し訳ございませんが、今すぐはダメで、この面会申込書に……」

 わたしは最後まで聞いていなかった。プチドラを促し、いきなり火炎放射で若いギルド員を火だるまに……

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