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俺が抜いたのは僧侶の杖でした。  作者: 五色 鍵錠
第1章 異世界の村で
5/5

5話:幼なじみ

カザドの森の入口での自らの力の確認を終え、アニスと共にカザドラズの村へ帰ってきた。


「リュウセイさん、夕御飯の食材買っていってもいいですか?」

「ああ、全然大丈夫だよ。あ、アニス武器屋とかってないかな?武器を少し見ておきたいんだけど…。」

「武器屋ですか……、武器屋はこの村にはないんです…。あ、でも腕のいい鍛冶屋がいますよ!食材を買うついでに少しよっていきましょう!」


と、俺の返事も聞かずに赤髪を揺らしながら走っていく。俺も走ったらパパッと抜いてしますので速歩きでアニスのあとをついていく。


少し走ったところで(尤も俺の場合は速歩きなのだが)アニスが俺の方を振り返りある1点を指さした。

「あ、あそこがこの村唯一の商店街のカザドラズ商店街ですよ!」


そう言われて指の指し示す方向を見ると確かにこの村で初めて見る活気のある一本の道とその両隣には所狭しと商店が並んでいる。

あぁ、どの世界でも商店街はこんな形なんだろうな……。なんて考えていたら遠くからアニスの、おいていっちゃいますよーの声で我にかえりアニスに今行くと呼びかけ速歩きでアニスの隣へ向かう。


「ここです。ここが私がいつもお肉を買ってるお肉屋さんです。」見ると天井から解体された牛1頭がブランブランと風で左右に少し揺れている。


「おう……。なかなかショッキングな光景だな。」


俺は少し入るのを躊躇してしまうくらいのグロテスクな光景だった。きっと日本で普通の生活をしていたのならばみんな俺と同じ気持ちを抱くだろう…。しかし、それをいつも気にもとめずにアニスはこんにちはーっと持ち前の明るさと男なら誰でも見とれてしまいそうな笑顔で店の中に入っていく。


「まぁ、俺が中に入る必要はないだろう。ここで待っていよう。」


と、店から少し離れたところでボーっとしていると少しした後アニスが帰ってきた。

「ははは、リュウセイさんには先に鍛冶屋に案内した方がいいかもしれませんね。実はその鍛冶屋は私の幼馴染がやっているんですよ!なので腕は保証します!」

とお世辞にも豊満とは言えない胸をフンっと逸らしここまでのドヤ顔はあまり見ないなと思わせるレベルのドヤ顔を俺に向けてくる。

まぁ、何はともあれここで時間を潰し続けるよりも先に鍛冶屋に案内してくれた方がありがたい。頼むと短く返事してアニスのあとをついていく。


アニスの後をついていく間にアニスの幼馴染という鍛冶屋の男について少し考えた後、自分にも幼馴染がいたと考えた。芹沢 葵という名前の突如俺の目の前から消えていってしまった幼馴染であり、初恋の相手だったポニーテールが良く似合うスポーティーな少女のことを……。


と、そんなことを考えていたら少し、歩いたところでカンッカンッとリズム良く金属と金属がぶつかる音した。リズムが良く、心が落ち着く小屋の前でアニスが

「ここですよ!中に入ってアニスの紹介って言ったらきっと良くしてくれますよ!私は買い物の続きいっちゃいますねー。」


と俺の返事も聞かず走っていってしまう。まったく忙しい子だと、同い年にも関わらず妹のように感じてしまうのは彼女の性格によるものなんだろうか。


なにはともあれ言われた通りに中に入り辺りを見回すと剣・剣・剣!剣しかなかった。いやこの場合は鍛冶屋なので正しいのかもしれないがナイフや刀なんてものは少しもない。全てがいわゆる長剣ロングソードと呼ばれる何の装飾もない剣だった。


少し辺りを見回していると奥で音が止み185cmはあろうかという黒髪でガッチリとした体格だか、不思議と人に威圧感を与えずサッカー少年のように爽やかな青年が奥から出てきた。


「お?客かい?珍しいな、剣が欲しいのならそこら辺にある好きな剣を持っていってくれていいぜ。全部50リルだよ。」

とニシシッとイタズラっ子のような笑顔を見せてくる。

「いや、村長に頼まれてゴブリンを狩らなきゃいけないんだがその武器を作って欲しいんだが……、長剣ロングソードしか作れないのか?」

「いや、作ろうと思えばナイフから包丁まで作けど、そうかあんたが例の漂流者ヴィクティムのリュウセイさんか…。いいぜ、どんな武器が欲しいんだい?」


と、聞いてくる。といきなりだが俺はほとんど全てのスポーツが苦手も言ったのを覚えているだろうか?唯一のスポーツを除いて。そう!唯一の得意なスポーツこそ剣道なのだ!よってとりあえず長剣ロングソードと違い斬ることを目的とする日本刀を作って欲しいと依頼することにした。そこで、簡単な図を書き爽やか青年君に渡す。爽やか君は少し思案した後

「おう!いいぜ作ってやるよ!俺の名前はシアン、ヨロシク!」

「こちらこそ、良い剣を頼むよ。」

と爽やか君の名前が判明した。シアンか…うん、爽やかな名前だ。と余計なことを考えていたところでシアンが俺に話しかけてくる。


「ところでこの日本刀っていうのの重さがどんなもんか知りたいからここにある同じような重さの長剣ロングソードを教えてくれないか?」


と聞いてくる。なんでも、重ささえ指定してくれればそれとほとんど変わらない重さで剣を作れるらしい。なので、軽く頷き近くにある適当な剣を掴んだ。いや、掴もうとした…しかし、結果としてその剣が俺の手の中に収まることは無かった。バチッと音と共に俺の手がはじかれたのだ。そして、2度3度試そうとしても何回やっとも弾かれてしまうの


「っ痛…えっ、剣持てないんだけど……。」

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