4話:俺の力
月・水・土曜日に投稿すると言いましたができる時にしていきたいと思います。ってことで不定期で投稿していきます。
カザドの森の入口に着いたところでとりあえずどうやって自分の身体能力を確かめようか1通り悩んだ挙句とりあえずジャンプすることに決めた。
村でジャンプした時はかるーく、飛んで屋根を超えるとなると本気でジャンプしたらどれだけになるのか確かめて見たくなったのだ。
とりあえず助走をつけてタタタッターンっと次の瞬間俺は経験したことのない浮遊感を味わうこととなった。30mは超えているだろうと思われる森の木のてっぺんのほぼ同じ高さにいるのだ。
そして、ヒューン、ドスンっ!と見事に体を地面に打ち付けた。痛たたた。うん、本気でジャンプするのはやめようこの高さから毎回落ちると体が持たない…ん?体のどこも痛くないぞ。おかしい、かすり傷ひとつ負ってない。
「あれ?痛くないんですか?!あの高さから落ちて!?」と隣で俺の体をあちこち確かめながら俺に聞いてくる。
「うん、痛くないね。ハハハ、人間やめたような頑丈さだな」
と苦笑しながら返すがアニスは冗談とわからなかったようで顔から血の気がさーっと引いていった。
「あ、いや、冗談だよ。さすがに普通の人間だって!」
「そ、そ、そうですよね。人間ですよね。ハハハ」
目が笑っていないよアニスちゃん。ま、まぁ、おそらく世界を超える際に有り得ないほどの身体能力と共にこの頑丈さを手に入れたんだろう。ここに来た時にしていたケガは前の世界での自動車事故でしたケガだったらしい。とここで俺はもう何度目かになる自らへの疑問にぶつかった
そう、ここに来た時には全身が痛かったのだ。それこそ自力では起き上がることのできないくらいに。それが今では痛みどころか酷かった肩こりまで治ってこの世界に来る前よりも好調なのだ。と、ここまでの思考を整理し俺は、まぁ、当たり前のように一つの結論にたどり着く。そして、俺はそれを確かめるべくアニスにこう聞いた。
「アニス、済まないんだけどナイフって持ってない?」勿論持っていないと思っての質問である。15、6の可愛い少女がナイフなんて持っていたらそれこそ驚きであるのだが…。
「ナイフですか?あぁ、持ってますよ、何に使うんですか?」
持っていた。持っていたのだ。いや、この場合持っていてくれたことはありがたいのではあるのだが…。
それはともかくとして、アニスからナイフを受け取り指の先に小さな切り傷をつける。指の先に赤い筋ができるのだが…。
「痛ぇぇぇぇぇ。。」
痛いのだ。傷がつかないのではないかと心配していたのだが、その予想は大ハズレ…。切り傷なんて日本に住んでたらほとんど経験したことのない焼けるような痛みが1分程続いたあとスーっと熱さが消えていった。えっ…、
「傷が消えてる…」と隣でアニスが呟いた。
そう、傷がものの数分で消えたのだ。血が止まったとかそんなんじゃなく、傷が跡形もなく消えたのだ。いよいよ、人間やめたようなものじゃないかよ…。
「ハァ、まぁとにかく汚人と戦って傷を負っても大丈夫ってわけだ」
と呟くと隣から怒ったような声で
「ダメですよ!これがどのくらいの治癒能力なのかわかりませんけど私達の村を救うために命を落としちゃうたら私達の夢見が悪いです!」
と俺に向かって説教をしてくる。あ、夢見が悪いからなんだ。いや、期待なんてしてなかったけどさ、私が悲しいです。とかそういう理由が欲しかったな、わかってたけどさ…。
と、まぁ、思ってもいない能力の発見もあったんだがここに来た本題は身体能力のチェックなのだ。
うーん、次はパンチ力とキック力のチェックでもしてみうかな。っということでカザドの森にある結構太い木に狙いを定めてみた。そして、フンッ!パァン。うん、ただのパンチだよ、ただのパンチで結構太い木が粉々に弾け飛んだよ。おいおい、これは…。キック力はパンチ力の3倍近くあるんだっけ?うん、これは確かめちゃいけないな汚人に追い詰められない限り使っちゃダメだな、うん。
さて、そんなこんなやっていたら日が随分傾いてきてしまった。うーん、そろそろ帰らなきゃかな。
「アニス、そろそろ帰ろうか、暗くなっちゃう。」と言うとアニスも
「そうですね、夜は冥王チェルノボグの支配が強くなりますからね。」
と言った。2人でまた並んで帰る時にアニスに冥王チェルノボグとやらについて聞いてみた。すると、少し驚いた後そうですよね、遭難者ですもんねっと納得してくれたように頷き教えてくれ。
「まずですね、この世界には五つの種族がいることは行きで教えましたよね?」
俺は自分の記憶をあさり答えを見つけだした。
「確か…人間、耳長族、矮小族、小人族、獣人族だったよね?」
「そーです!流石ですね!」良かったあってたみたいだ。その後のアニスの話をまとめるとこうなるらしい。
100年程前からバラバラに悪さをしていた魔物や怪物達をある謎の魔物が纏め、5種族の国々に戦いを挑んだらしい。そして、その魔物達を纏めた謎の魔物こそ冥王チェルノボグというらしい。カザドラズの村のはるか北にあるグルンヴァンド山脈の麓にワールシュタットの黒館という館を作りそこから配下の三大魔王に命令をだし5種族と戦っているらしい。
うーん、それはとっても怖いかな。
「ね、ねぇ、汚人退治なんてしてその冥王チェルノボグってのに目をつけられたりしないかな。」い、いや怖いとかそういうのじゃないんだけどさ。うん、そんなのに目をつけられたら俺の異世界ライフがenjoyできなくなるというか…。。
「あはは、大丈夫ですよ。冥王チェルノボグはこんな辺境のゴブリンが数匹やられた程度じゃ気にしたりしませんよ。」
ホッ、本当に心の底から安心したよ。
その程度のことで冥王チェルノボグなんてものに俺の異世界ライフは邪魔されちゃたまらないからね。
うんうん、とか話していたら村の入口についたのだった。