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2.怪しいオルフェ

 オルフェは昼過ぎになると肉を売り切り、店じまいをしました。

 そう様子を見てカルンは歯ぎしりをしました。

 自分がなかなか肉を売れない中、あっさりと完売してしまうオルフェを妬ましく思ったようです。


 店じまいをし終わったオルフェは取り置きしておいた肉を持って、どこかへ移動を始めました。

 カルンはオルフェの後を追います。


 どうやらオルフェは肉の配達をしていたようです。

 オルフェの店まで来られない人のために配達サービスのようなものを行っていました。

 そのためにオルフェは数軒の家を回り、肉を手渡しました。


 肉を届け終わると、オルフェは村の外へと出て行きました。

 どうやら配達分を含めて肉をさばききったので、翌日販売する分の肉の確保に動いたのだとカルンは勘付きました。

 オルフェが多くの肉を確保できる秘密を逃すまいと思い、カルンはオルフェの後を追いかけました。


 オルフェは森の中に入っていきました。

 そしてオルフェは森の中に置いてあった巨大な荷車に触り、様々な所のチェックをしています。

 

 巨大な荷車……これで狩った動物の肉を乗せて運ぶのだとカルンには分かりました。

 オルフェはしばらくの間、その荷車をチェックし、ちょっと壊れた所は周辺の木の破片をつなぎ合わせ、補強をしました。

 それが数時間にも及びました。


 もうすぐ日が暮れるという頃になり、オルフェは急にどこかへと移動を始めました。

 あまりにも早かったので、カルンも反応が遅れ、それでも必死にオルフェの方へと向かいました。

 ですが、茂みを抜けた先にオルフェの姿はなく、完全に見失ってしまいました。


 振り切られたことを悔しがるカルン。

 でもだからといってオルフェを深追いすることはしません。

 森の中の危険性をよく分かっているからです。

 そもそも森は広いので、そのどこかにいる特定の人間を探し当てるのは困難です。

 故に、カルンは今日のオルフェの追跡をあっさりと諦めました。


 辺りが暗闇に包まれる頃、カルンは村に戻り、例の老人の所に肉を渡しに行きました。

 それから自宅で少し睡眠をとりました。

 そして夜明けよりも少し前位に村から出て、森の中へと入っていきました。


 夜の森は見通しが悪く危険です。

 ですが日中を肉の販売に充てるためには肉を夜に確保する他にありません。

 それが肉屋を経営する難しい理由の一つになっています。


 カルンはいつも通り、狩りを行い、程よい量の肉を確保しました。

 頑張ればもっと多くの肉を手に入れることもできますが、カルンはそういうことをしませんでした。

 売れる以上の肉を確保した所でただ腐らせてしまうだけですからね。


 狩りを終えたカルンはそのまま村へと帰っていきました。


 カルンが村から帰る途中、夜明けを迎え、外が明るくなり始めました。

 そんな中、ある者の姿が目に入りました。


 巨大な荷車を引く者。

 そう。

 オルフェの姿がありました。



 オルフェは大量の肉が積まれた荷車を悠々と引いていきます。

 カルンはその様子を遠くから眺めていました。

 するとオルフェが進む向きを変え、後ろにいるカルンの所へ近づいてきました。


 不意をつかれたカルンはその場に立ち尽くし、オルフェが目の前までやってきました。

 するとオルフェに話しかけられることになります。



「カルンさん、今日も狩りお疲れ様です。肉をたくさん取れたので、よろしければ少し差し上げましょうか?」



 まただ。

 何でこのオルフェは自分に肉をくれようとするんだろう。

 馬鹿にしているんだろうか?

 そうカルンは思いました。



「お前、いくら余裕があるからって調子に乗るなよ。すぐにその化けの皮をはがしてやるからな。今に見ていろ」



 そう捨て台詞を吐いて、カルンは村へと一人走って帰っていきました。

 村に向かっていくカルンを見て、オルフェは悲しそうな顔をしました。

 オルフェにとっては下心なく親切心で言ったつもりなのに、逆効果になってしまっていて困っているのです。

 どうしてカルンが自分のことを煙たく思っているのかオルフェには理解ができませんでした。

 きっと機嫌が悪いだけだろう。

 そう思う事にして、オルフェはカルンに喜んでもらおうと肉を分け与えることを繰り返し試みるのでした。



 オルフェに挑発されたと思ったカルンは怒りを内に秘めつつも、肉の販売の準備にとりかかりました。

 狩った獲物を人が食べやすいようにブロックサイズに切り分けます。

 そして保存がきくように、肉に天然の防腐剤のようなものを練りこんでおきました。

 毒のない天然素材なので肉と一緒に摂取しても大丈夫ですし、そうしておくと一日は腐らずに済みます。

 これがないと肉の販売はまともに成り立っていなかったでしょう。


 こうしてまたカルンの新たな一日が始まりました。



 いつも通り、数人に対し、肉を販売した後、しばらくボーっとして暇をつぶしていました。

 ボーっとしながらも今度こそはオルフェを見失わずに追跡するぞという堅い決意に満ち溢れていました。

 少し休んだ後、カルンは昼間にはもう店じまいをして、例の老人の所に行きました。

 そして昼間のうちに、肉を販売してしまいました。

 いつもカルンが老人の所に夜向かうのは、肉を安く売っていることを感づかれないようにするためです。

 ですが今日はそんなことを気にせず、とにかくオルフェの秘密を暴くことに躍起になっていました。

 そこで昼間にも関わらず、老人の所に販売しに行ったのです。


 老人は昼間にカルンが来たことに驚きましたが、特に理由を聞くこともなく、肉を買いました。

 ちなみに老人の容態はだいぶ良くなり、もう外に出歩けるほどになったそうです。

 

 こうしてカルンはやるべきことを終え、オルフェの追跡に全力を尽くせるようにしたのです。

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