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第4話 ざまぁ見ろ、最高の有能変態たち



「な、なんだよ……今の……。お前ら、戦ってたんじゃないのかよ……。あんな、あんな汚らわしい声を出し合って……竜を相手に、何をしてたんだよぉっ!」


 古代地竜の巨大な死骸の前で、勇者ガイルが膝をつき、情けなく声を震わせる。

 彼の股間は無様に膨らみ、手にした聖剣は地面に突き刺さったまま、主の動揺を映し出すように鈍く光っていた。

 ガイルの背後にいる仲間たちも同様だ。かつては気高く振る舞っていた魔法使いや僧侶も、今は顔を真っ赤にし、荒い鼻息を漏らしながら、あられもない姿でへたり込む三人の少女を凝視している。


「……汚らわしい? 君には、この尊い勝利の凱歌が、そんなふうに聞こえたのか。哀れだな」


 俺は一歩前に出て、ガイルを見下ろした。

 三人のヒロインたちは、今まさに激戦を終えた「事後」のような、蕩けた表情で地面に伏している。


「あ、あぁっ……はぁっ、んっ……。身体が、まだ……熱い、の……っ。魔力の、残滓が……私の中に、残って……っ、んんっ、あはぁっ!」


 セリアが重い甲冑の中で身をよじらせる。

 金属の擦れ合う硬質な音と、彼女の喉から漏れる湿った甘い声。その対比が、静まり返った森に異常な淫らさを振りまいていた。

 彼女が動くたびに、戦いで熱を帯びた肌から蒸気が立ち上がり、それがまるで熟れた果実のような、芳醇な雌の香りを周囲に撒き散らす。


「ふ、ふぅ……っ、んぅ……。だめ……もう、指一本……動かせない……っ。全部、出ちゃった……から……っ、んっ、はぁっ、あぁんっ……」


 ルミナは杖を抱いたまま、虚ろな瞳で空を仰いでいる。

 極大魔法を放った後の彼女の魔力回路は、今や完全に開かれ、周囲の微細な魔力を吸い込むたびに、その華奢な体がビクンビクンと小さく跳ねる。

 その呼吸は、もはや酸素を求めているのではなく、快楽を求めているかのように深く、そして粘着質だった。


「ひぅ……っ、神様ぁ……っ、んんっ。あたたかい、のが……まだ、お腹の、奥に……っ、とどまって、離れて、くれないんですぅ……っ、はぁっ、んあぁっ!」


 フィリアは自分の胸元をぎゅっと握りしめ、恍惚の表情で涙を流している。

 聖なる力が彼女を通り抜けた後の余韻は、彼女という清らかな器を、極上の悦楽で満たし尽くしていた。


「お、おい! 聞いただろ今の! こんなの、冒険者のすることじゃない! こいつらはただの……ただの、狂ったメスだ! そうだ、この竜だって、俺たちが弱らせておいたから倒せたに決まってる! 手柄は俺たちのものだ!」


 ガイルが逆上して叫ぶ。その声には、自分たちが捨てた「出来損ない」が、自分たちを遥かに凌駕する力を発揮したことへの、耐え難い嫉妬と恐怖が混じっていた。


「……弱らせておいただと? おい、ガイル。自分の足元を見てみろ」


 俺が冷たく指摘すると、ガイルは自分の足元に広がる、無数のゴブリンの死骸と、彼自身の「漏らした」跡に気づき、顔を凍りつかせた。


「君たちが戦っていたのは、ただの雑魚だ。この地竜には指一本触れていない。それどころか、彼女たちの『声』の余波に当てられて、戦うことすら忘れて蹲っていたじゃないか。……有能な彼女たちの価値も分からず、ただ声がエロいというだけで追放した結果がこれだ」


「うるさいうるさいうるさい! 付与術師の分際で、俺に説教するなぁっ! そんな、変態どもを連れて……っ、あぁ、もうだめだ! その声、その声を止めろ! 俺の、俺の理性がぁぁっ!!」


 ガイルは耳を塞ぎ、のたうち回った。

 セリアたちの吐息は、魔力の波動となって彼の脳を直接愛撫し、騎士としての矜持を粉々に砕いていく。

 かつての仲間たちが、自分を蔑むように……いや、もはや存在すら忘れたかのように、俺だけを見て喘いでいる。その事実が、彼に最大級の屈辱を与えていた。


「……セリア。まだ、ガイルのところに戻りたいか?」


 俺が問いかけると、セリアは震える手で俺の裾を掴んだ。


「い、いやよ……っ、はぁっ、あぁんっ! あんな、人の価値も、わからない……男……っ。私を、見てくれるのは……私を、本当に、わかってくれるのは……っ、貴方だけ……っ、んっ、んんぅっ!」


「私、も……っ。この、声も……魔力も、全部……貴方に、捧げたい……っ、あはぁっ!」


「主人公様ぁ……っ、あぁっ。私を、もっと……貴方の力で、めちゃくちゃに……浄化、してぇ……っ、んっ、あぁぁんっ!」


 三人の少女たちが、俺の足元に縋り付く。

 その光景は、誰が見ても「支配者と、その虜」にしか見えないだろう。

 だが、その実態は、世界で最も純粋な信頼と、実力の肯定によって結ばれた、清い絆だった。


「聞こえたか、ガイル。これが君への、彼女たちからの最後の『挨拶』だ」


 俺はガイルを一瞥もせず、三人を優しく抱き起こした。

 その際、指先が彼女たちの肌に触れるたび、三人は「ひぅっ!」「あぁっ!」「んんっ!」と、脳を痺れさせるような高い嬌声を上げる。

 その声が重なり合い、森の空気を甘く濁らせ、ガイルたちの精神を完全に破壊するトドメとなった。


「あ、あわ、あわわ……っ、ぐへ、へへっ……」


 勇者ガイルは、もはや言葉を紡ぐことすらできず、焦点の合わない瞳で虚空を見つめ、口端から涎を垂らしながら笑い始めた。

 彼のパーティーメンバーたちも、自分たちの「道具」としての役割すら果たせなかった無能感と、暴力的なまでの色香に当てられ、その場で果てて、半ば廃人と化した。

 このまま放置すれば、他の冒険者達の目にもとまり、あんなに恐れていた社会的な死を味わうことになるだろう。


 これが、因果応報だ。

 本質を見抜けぬ無能な「勇者」には、ふさわしい末路だろう。


「さあ、行こうか。ここはもう、俺たちには用がない」


 俺は三人の腰を抱き、ゆっくりと歩き出す。

 セリアの鎧が擦れる音。ルミナの荒い吐息。フィリアの震える声。

 それらすべてが、これからの俺たちの進む道を祝福する、最高の音楽に聞こえていた。


「ねぇ……主人、公様……っ、んっ、あぁっ。私……新しい、パーティー名……考えたの……っ」


 セリアが俺の肩に顔を埋め、熱い息を吹きかけながら囁く。


「……聞かせてくれ」


「『|ジェミスマン(gémissement)』……よ……っ。世界を、私たちの、声で……震わせて、やるんだからぁ……っ、んんっ、はぁああああっ!!」


 その宣言と共に、三人は再び俺に強く抱きついた。

 森の奥から響き渡る、三人の異なるトーンの絶頂。

 それは、古い時代の終わりと、最高に淫らで、最高に有能な、新しい伝説の幕開けを告げる合図だった。


 俺たちは、歩みを止めない。

 世界中のダンジョンを、魔物たちの叫びではなく、彼女たちの艶やかな「あえぎ声」で埋め尽くすまで。


 さあ、次はどのダンジョンを「汚染」しに行こうか。

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