表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/4

第3話 響き渡る絶頂詠唱と大討伐



「だ、だめぇ……っ! そんなに大きく口を開けて、迫ってこられたら……っ、私、もう、耐えられないぃぃっ!!」


森の最奥、大地を震わせる轟音と共に現れたのは、この地域一帯の生態系の頂点に君臨する『古代地竜アース・ドラゴン』だった。

全長二十メートルを超える巨躯、鋼鉄をも容易く噛み砕く牙、そして周囲の魔力を強引に吸い寄せる圧倒的な質量感。


その威容を前にして、重戦士セリアは盾を構えながら、まるで純潔を奪われようとする乙女のような悲鳴を上げた。


「あぁっ、んんっ……! 地面が……地面の振動が、足の先から、内腿を通って……っ、お腹の奥まで、響いてくるぅ……っ! ひぅ、あはぁっ!」


セリアは必死に踏ん張っていた。

だが、巨大な竜が放つ威圧感プレッシャーが、彼女の過敏すぎる魔力器官を激しく愛撫する。

彼女にとって、強大な敵と対峙することは、全身を未知の力で弄ばれるような、抗い難い悦楽を伴う苦行なのだ。


「セリア、そのまま耐えろ! お前の防御力なら、その一撃は『気持ちいい』程度で済むはずだ!」


俺は特製のイヤーカフを調整しながら、冷静に指示を飛ばす。

俺の視界には、セリアの盾が竜の質量を完璧に受け流し、衝撃を魔力に変換して自身の筋肉にフィードバックさせている様子が、克明にデータとして表示されていた。


「はぁっ、はぁっ……っ、そんなこと、言ったって……っ! あ、あぁぁぁっ!! 来た、凄く太いのが……っ、芯まで、響くぅぅぅっ!!」


ドォォォォォン!!


地竜の巨大な前脚がセリアの盾を叩き潰さんと振り下ろされる。

凄まじい衝撃波が走り、周囲の立ち木がなぎ倒された。

だが、セリアはその場から一歩も退かない。

むしろ、盾を押し返す彼女の顔は、苦痛ではなく、激しい「昂り」に染まっていた。


「……っく、ふぅ……っ、んんっ! すごい……っ、今の、すごく強かったわ……っ! もっと……もっと激しく、私を叩いて……っ、めちゃくちゃにしてぇっ、あはぁんっ!」


戦場に響き渡る、あまりにも淫らな重戦士の挑発。

地竜ですら、その異様なまでの熱量を含んだ声に毒されたのか、爬虫類特有の冷徹な瞳を困惑に揺らし、動きを一瞬止めた。


「よし、ルミナ! 魔力充填率一二〇%。今だ、撃て!」


「……っ、ふぅ……っ、ふぅ……っ。だめ、もう、限界なの……っ。私の中に、入りすぎてる……っ、魔力が、こんなに、パンパンに……っ、んんっ、あぁっ!」


後方で詠唱を続けていたルミナは、すでに自力で立っていることすらままならない様子だった。

杖を抱きしめるようにして膝をつき、腰を激しくくねらせながら、口の端から銀色の糸を引いている。

彼女が魔力を集めるたびに、周囲の大気が甘く震え、桃色の光彩を放つ。


「い、いくわよ……っ、本当に出る……っ、全部、出しちゃうんだからぁっ!! 『絶頂破滅焔クライマックス・バースト』ぉぉぉぉっ!!」


ルミナの絶叫と共に、杖の先から放たれたのは、全てを焼き尽くす極大の火炎放射だった。

それは魔法というよりは、溜まりに溜まった情動を爆発させた「放出」そのもの。

地竜の分厚い鱗を焼き、肉を焦がし、森の一部を文字通り消滅させるほどの威力だ。


「あ、あぁぁ……っ、んっ……はぁ……、空っぽ……空っぽになっちゃった……っ」


ルミナはその場に突っ伏し、痙攣するように肩を震わせている。

その背中は、大仕事を終えた後のような、形容し難い多幸感に包まれていた。


「ぐ、ぐあああああああっ!!」


だが、地竜もさるもの。半身を焼かれながらも、狂乱状態で最後の一撃を放とうと首を振り上げる。


「フィリア、最大出力のヒールをセリアに! 聖なる力で竜を浄化しろ!」


「はひっ、はいぃっ……っ! あ、あたたかいのが……っ、神様の、大きな力が……っ、私を、突き抜けていくぅ……っ、んっ、んあぁぁっ!!」


聖女フィリアが祈りを捧げると、彼女の体から溢れ出した聖なる光が、津波となって戦場を飲み込んだ。

それは癒やしの光であると同時に、邪悪な存在にとっては耐え難いほどの「過剰な愛」の波だ。


「あはぁぁっ、あぁぁっ! 入ってくる、入ってくるぅ……っ! 聖なる光が、奥まで、洗ってくれるぅ……っ、んんんっ!!」


フィリアの嬌声がこだまするたびに、地竜の動きが鈍くなっていく。

その神々しくも淫らな波動は、地竜の闘争心を根底から削ぎ落とし、その魂を強制的に「解脱」へと導いていた。


その時だった。


「お、おい! なんだ、この声は……っ! 一体、何が起きてるんだ……っ!?」


森の茂みをかき分けて現れたのは、ボロボロになった鎧を纏い、這う這うの体で逃げ出してきた勇者ガイルの一行だった。

彼らは低級魔物の群れに囲まれ、有能な前衛と後衛を失った代償を、その身を持って味わっていたらしい。


だが、彼らが目にしたのは、かつての仲間たちが、巨大な地竜を相手に「絶頂」しながら圧倒している、あまりにもシュールでエロティックな光景だった。


「せ、セリア!? ルミナか!? なんだ、その声は……! お前ら、こんな戦場のど真ん中で何を……っ、う、うっ!?」


ガイルは言葉を失った。

セリアの「もっと叩いて」という声、ルミナの「出ちゃう」という叫び、そしてフィリアの「あたたかいのが入ってくる」という祈り。

それらが、地竜の死に際の咆哮と混ざり合い、戦場全体を巨大な「行為」の最中のような空気感で支配していた。


ガイルたちの股間は、自分たちの意志とは無関係に、猛烈な勢いで反応を始めていた。

命の危険がある極限状態と、耳から入り込む極上の喘ぎ声。

その矛盾した情報の奔流に、彼らの脳はあっけなくパンクした。


「あ、あわわ……っ、なんだこれ、なんだこれぇっ! あいつら、あんなに凄かったのか……っ!? それに、あの声……っ、聞いてるだけで、こっちまで……っ!」


ガイルは剣を握る力すら失い、その場に膝をついた。

隣にいた魔法使いや僧侶も、顔を真っ赤にして鼻血を流し、朦朧とした表情で腰を浮かせている。


「トドメだ、セリア!」


「ええ……っ、わかったわ……っ! これで……っ、これで最後よぉぉっ、んあぁぁぁっ!!」


セリアが渾身の力で盾を叩きつける。

地竜の頭部が砕け散り、巨躯が大きな音を立てて崩れ落ちた。


勝利の瞬間。

森には、三人の少女たちの、重なり合うような、長く、甘い吐息だけが残された。


「……ふぅ。お疲れ様、三人とも。完璧な連携だったぞ」


俺はイヤーカフを外し、額の汗を拭った。

翻訳機能を通さない生の彼女たちの声は、確かに鼓膜に毒だ。

だが、その毒こそが、世界を救う最強の武器になる。


「あ……主、人公様……っ、はぁっ、んんっ……。私たち……うまく、できた……っ?」


セリアが、頬を上気させ、乱れた髪をそのままに俺を見上げる。

その潤んだ瞳には、俺への深い信頼と、充足感が溢れていた。


「ああ。最高だったよ。……さて、そこに転がっている『無能な元仲間』たちの始末、どうしようか?」


俺が冷たく視線を向けると、腰を抜かしたままガクガクと震えているガイルたちの姿があった。

彼らはもはや、声も出せないほどに「彼女たちの実力と色香」に完敗していた。


「あ、あう、あうう……っ……」


情けなく涎を垂らす勇者の姿に、セリアたちは、かつて自分たちを蔑んだ男への未練など、微塵も感じていないようだった。


「……別に、いいわ。あんな人たちのこと、もう、どうでも……っ、んっ、いいもの……っ」


セリアはそっと俺の腕に自分の豊かな胸を押し付け、甘えるように顔を寄せた。


「今は……ただ、貴方に、褒めてほしいの……っ、はぁっ、あぁっ……」


「わ、私も……っ、なでなで、してぇ……っ、んんぅっ!」


「私もぉっ、あたたかい言葉が、ほしいんですぅ……っ、あはぁんっ!」


三人の「有能すぎる変態」たちに囲まれ、俺は苦笑いしながら、彼女たちの頭を優しく撫でた。

俺たちの伝説は、まだ始まったばかりだ。

この艶やかな声が、やがて世界中のダンジョンを「汚染」していくことになる。


一方、放置されたガイルたちの耳には、いまだに彼女たちの喘ぎ声の残響が、呪いのようにこびりついて離れなかった。

彼らが再び冒険者として立ち上がる日は、おそらく二度と来ないだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ