45話【終幕】
とりあえず、最後までご覧ください。
妾の口で、語れることなどほとんどない。
それでも聞きたいなら、教えてやる。
A級冒険者試験、最終試験当日。
それは起きた。
妾が直々に監督する試験ではあったが、行った内容自体はただの面接だ。
生き残った十人それぞれと面談を行い、合否を判定する。
それだけの内容だった。
だから、本当に妾にもなにが起きたのかわからない。
九人目の面接相手……名前はランと言ったか。
彼女の面接の最中、ファミリが部屋に駆け込んできた。
たまたま居合わせたという、ギルド職員のアミアとかいう女史も一緒だったが、それはいい。
ファミリはいつになく慌てた様子で、妾たち三人を魔法陣移動させた。
ファミリ自身を転送させる余裕はなかったのだろう。それほどに事態は切迫していたらしい。
そして妾たちは、王国からかなり距離の離れた廃村に転送されたのだが。
直後。
件の大爆発が起きた。
それにより、王都は壊滅。
民も、貴族も、王族も、動物も、植物も、なにもかも吹き飛んだ。
王都にいた人間は、例の奴らを除いて全員死亡。
知っているのは、その程度だ。
まったく、ギルドマスター・アギルマの名が聞いて呆れる体たらくだろう?
今回のことで、ギルドマスターの座は誰かに譲り渡すことになるだろうが。
それはむしろ願ってもないことだ。
友であるファミリを失い、座しているつもりは毛頭ないのでな。
幸い、あのランという女からかなりの情報は得られた。
ああ。それは既に別口で伝えてあるから、今更説明の必要はないとわかっているさ。
とにかく、そろそろ解放してくれないか。
そうでなければ、妾は貴様らを半殺しにしてここを出たくなってしまうかもしれない。
……すまない。怖がらせるつもりはなかった。
だが、妾としてもどうしても気持ちを静められなくてね。
件の大災害を引き起こした奴らの名は、決して忘れることはないだろうさ。
悪魔憑きの少女、リーリィ。
元奴隷商人のニル・ラヴァン。
そしてもうひとり。
斧使い、ドンド。
こいつらは、必ず探し出して、八つ裂きにしてやる。
これで終了ではありません。話は続きます。
断っておきますが、最終試験の内容もちゃんと考えていました。誰が合格して誰が不合格になるかまで色々と伏線も用意しておいたのですが。正直あまり面白い展開ではないな、と判断しまして。
誠に遺憾ながら、このような形をとらせていただきました。
重ねて言いますが、ドンドたちの物語は終幕ではありません。




