8 連携
美雨たちはその後、さらにギルドの三人と合流し、計六人でCランクの吸血鬼を討伐する。第三区、二区の南西に入ったという情報を受けてそこに向かった。
林道付近で目標を見つける。彼等は痕跡を追うのが上手かった。そのことに美雨は感嘆していた。
二人のガンナー、一人の魔法使いに吸血鬼は防戦に追い込まれていた。敵は距離を取ろうと林道を縦横無尽に走っていた。忌々しいといった様子の吸血鬼。
「鬱陶しいっ……サーチの魔法かッ。振り切れん!!」
美雨と他二人は近接を得意とするので追っていた。相手が攻撃を避けながら逃げているので簡単に追えている。
(凄い。Cランクの吸血鬼をこんなに楽に追い詰めている……これが本物の連携ッ……)
ある時、吸血鬼は停止した。振り返って戦う姿勢を見せる。
「止まった!! 疲れたみたい!!」
美雨がそう言うとパーティーの一人が否定する。
「違う。逃げきれないと判断した。体力があるうちに数を減らす気だ。油断するなよ」
その言葉に気を引き締める。美雨ともう一人が接近する。敵はそれを避けると同時に影で攻撃をする。しかし、その影は突然進行方向を変えた。
背後でガンナーが心臓を狙ったからだ。影は弾をはじいて自身の急所を守った。
「分かってるわね……あの辺よ……」
「くッ……!!」
敵は影から生成した黒いシールドを展開し、心臓を守りながらガンナに向けて影を伸ばす。
「よっと」
二人は見事にそれをかわした。後衛は距離が遠い分、到達に時間がかかるため、敵の攻撃を回避しやすい。吸血鬼はそれを見て激怒する。
「魔力の低い異世界の猿がッ。夜のヴァンパイアを恐怖を存分に思い知れ!!」
「ちッ。捕縛されるぞッ。全力で跳べ!!」
一人が地面を見ながら叫んだ。いつのまにか地面に黒い紐のようなものが伸びていた。その声に反応し、緊急回避するも影が脚に巻き付いた。
黒い紐はやがて全員の体中に巻き付く。殺傷力を捨て、隠蔽と束縛に特化した闇の魔法である。
「くそッ」
「硬い……だめ逃げられない……」
吸血鬼はニヤリと笑っていた。
「クク、形勢逆転だな」
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