6 一日ぶりの再会
【酒場:ノックス】
夜空は行きつけのバーにやってきた。知り合いがすれ違いざまに声をかけ去って行く。
「バイトどうだった?」
「首になった」
「またかよ。まあ、頑張れよ」
カウンター席に近寄ると見知った女性を見つけた。背後から声をかける。
「ひゃっ……なんでここに?」
振り返る美雨。夜空の姿を見て絶叫した。まるで幽霊を見ているかのようだった。
「俺は変質者か……まったく」
「ぁ……ぁ……な、なんで!! なんで生きてるの!!?」
「生きてちゃ悪いか?」
「……ごめんなさい。驚いただけで……良かった……本当に……」
美雨の悲し気な表情に笑顔が混ざり合う。心からそう思っていることがうかがえた。
どうやら彼女は夜空が死んだ事をここに報告しにきたらしい。しかし、誰に言えばいいのか分からなかった。勇気が出せずにずっとここで飲んでいたようだ。
先日のあの事件は美雨を守ろうとした三人が、彼女の動きを封じ、最後は六郎が同士討ちで勝ったと補完している様子。雑な補完だが、追い詰められた人間とはそんなものである。
「そうだ。これは報酬よ……受け取って」
50%の報酬を渡そうとする。これは彼女の罪の意識の現われだろう。こうすることでしか自分の心を守れない。
「おいおい。俺は臨時で雇われただけの存在。これはさすがに多すぎるって」
夜空はキリっとした表情で美雨に言う。次の瞬間彼女は目を見開いた。
「いや、懐に入れるの早いな。中々お目にかかれない言動の不一致ね」
「謙虚だったろ?」
「今の言葉でその欠片すら粉微塵になったよ」
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