51 とうそう
最初に動いたのはリリンだった。武器はない。それでも体に鞭打って、ゆっくりと前に進む。
「絶対に……逃がさねェぞ。殺人鬼……」
瑠琉はそれを嫌った。かといって大量の剣を生成する体力は残っていない。彼女を遠ざけるために氷の剣を生成し、それを手に持った。リリンは若干警戒はしたものの、その歩は止まらない。
(あの女はハンター……今一番最悪なのは仲間がここに駆け付けること……時間をかけすぎた。ここは騙し、逃げる……)
氷の剣を片手に持ち、瑠琉は接近する。それを見てリリンが迎え撃とうと構えた。次の瞬間、瑠琉は氷の剣を投げた。予想外の攻撃。リリンは避けることに成功したが、バランスを崩して地面に転がる。
リリンの周囲に数本の氷の剣が発生する。数は圧倒的に少ない。しかし、それは全て急所を狙っていた。リリンは地面に転がり、全力で逃げようとする。
「ッ……しまッ……」
地面に薄い氷が発生し、手足に巻き付くように広がっていく。これによりリリンを数秒間縛り付ける。短いが弱った者にはそれで十分だと瑠琉は判断した。
リリンはなるべく身を小さくする。火事場の馬鹿力で腕だけは氷の束縛から抜け、急所を腕で守る姿勢をとり、それを凌ぎきろうとした。
魔力があまり込められていない弱々しい剣が、射出された。
「さようなら……小さなハンターさん……」
その結果を見る事なく、瑠琉はその場から全力で離れた。
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