2 優秀なハンター?
【酒場:ノックス】
美雨の提案でハンターが集まるバーに向かった。ギルドには宿と食堂付の拠点が各地にいくつかある。
ハンターはそれがないので、適当に各地のバーに集まる事が多い。
四人は早速お店の前に来ていた。ハンターを雇うのは初めてで、緊張しながら店内へと進んだ。
鋭い眼差しで見られた。ギルドのワイワイした空気とは違う張り詰めた空気だった。見慣れない顔だという面も大きかっただろうが。その場で硬直していると、カウンターに座る男に声をかけられた。
「あれ。さっきの」
黒髪の男がクリームソーダと戯れていた。アイスを食べたり、チューチューとストローを使って緑の液体を飲む。機嫌が良さそうだ。カウンター内ではスラリとした初老の男性が、洗練された動きで黙々と仕事をこなしていた。
「ぶつかって悪かった。さっきは急いでたんだ」
「用事は終わったの?」
「険しい道のりだった。カラッっカラの喉を潤すソーダはやはり最高だ」
「「「「……」」」」
「名乗ってなかったな。俺は山井夜空」
「今宵美雨です」
「優秀なハンターを雇いにきたのか?」
「そうよ。今回の敵は警戒心が高い事が予測できる。念のためだけど、数が必要って判断したの」
そこで、知らない男が近寄ってきた。嘲笑しながら言う。
「悪い事は言わねェ。そいつは止めときな」
「え?」
「”イキリの夜空”……最低ランクの男だ。Fの亜人はもちろん、魔物も満足に倒せねェただの雑魚だぞ」
ケラケラと笑いながら去って行った。
「うっせーよ。雰囲気くらい出してもいいだろ? 空気を読めっての」
真実を知った彼女は目を逸らしながら気まずそうに言う。
「あ、あの……私たちはこれで……」
「依頼のランクは?」
「…………Eランク。本当にそれなら大丈夫。けど、それ以上も想定に入れてる」
「そうか。俺が言うのもなんだが、ここに集まるハンター。レベル高いぞー。Bランク。いや、最低でもCランクは欲しい」
見知らぬ者が持ってきたEランクの依頼など誰が受けるかといった厳しい視線を感じた。そして、夜空に視線を戻した。
「れ、連携は得意かしら? あ、無理ならいいのっ。別のバーに行くことにするわ」
「ふっ。一番槍なら任せろ。そこからは好きに動くと良い。俺はそっちにただ合わせるだけだ。一流だからな」
六郎が不安そうに聞いた。
「ど、どうする?」
「俺は良いと思う……」
「お、俺も。連携に影響がないなら……」
「決まりね」
「報酬は討伐料の20%でどう?」
「妥当だな……確認させてもらう。依頼内容は敵の撃破だけか? 護衛は専門外だが望むのなら」
「侮らないで。私たちはギルドの一員よ!!」
「……失言だったな。悪かったよ」
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