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三十ニ話 02 別世界の面々

 2日後俺達《極昂の虹(きょっこうのにじ)》は今度はアグニスから招集を受けて集まった。


 場所は《陽炎の迷宮(ダンジョン)》から少し離れた岩の密集する場所で既に10人ほど他の冒険者にも集まっていた。


「それでアグニス話ってなんだ」

「まずは紹介します。地方で冒険者をやっていた《流星の羽ばたき(りゅうせいのはばたき)》と《晴天の御旗(せいてんのみはた)》の皆さんです。そしてこっちが《極昂の虹(きょっこうのにじ)》の皆さん」


 聞いた事の無い冒険者だな。

 そんなに詳しいわけじゃないけど《魔物の大氾濫(スタンピード)》の時に主要な冒険者のパーティは覚えたつもりだ。


「どうも始めまして」

「よろしく」

「始めまして」

「おう」


 向こうの挨拶にエナやクーベルも口々に返していった。


「少しリーダーだけで話したい。こっちに来てくれ」

「わかった」


 そういってアグニスは100メートルくらい結構な距離を離れた。

 内緒話にしてはやけに離れ過ぎだ。


「さてまずは紹介しするよ。こちらはテルト・リバース、僕と同じ地球人の《転生者》だ」

「えっ? アグニス⁉」


 突然のアグニスの紹介に俺はびっくりした。


 別に約束した訳じゃないけど俺達が《転生者》だって事は誰にも言わないってのが暗黙の了解ってやつだ。


「そしてこちらの《流星の羽ばたき(りゅうせいのはばたき)》のリーダーのププローさんはオルテュス人、なんと異星人の《転生者》だ」

「えっ⁉」


 なんだって!? 異星人?

 今間違いなく異星人の《転生者》って言ったよな??


「ププローだよろしく。無表情とよく言われるが表情の動かし方が良くわからない。許して欲しい」

「はっ、はぁ……」


 ププローは20歳くらいの男性で薄い青髪で表情は硬かった。

 異星人だから表情の動かし方が分からないって事らしい。


「でこちら《晴天の御旗(せいてんのみはた)》のリーダーのホバッツさんはイクテス人、同じく異星人の《転生者》だ」


 ホバッツは30歳くらいの男性で薄い紫色の髪の毛で顔は程々に整っていた。

 ププローとはまた別の異星人の《転生者》らしい。


「本当に……異星人なの?」

「おそらくそうだろう。我々は地球人と違って元の姿がこの星の生物と異なるため、適応するのに苦労しているのだ」

「そうなんだ」


 確かにホバッツの動きはぎこちない。

 元の姿はどんな感じなんだろうかタコやイカみたいな形だったりして。


「ちなみに《マジックビジョン》を作ったのは、別のオルテュス人の《転生者》でそこから知り合う事ができたんだ」

「なるほどね」


 それでいきなり2人の《転生者》と接触出来た訳か。


「驚いたな。こんなに《転生者》が、しかも異星人まで居るなんて」

「他にも数10人の《転生者》のパーティと連絡が取れてる、後でテルトにもリストを渡すよ」

「そんなに?」


 2人どころか10人も居るのか。

 しかし何で異星人までいるんだ?

 地球人以外もこの星に《転生者》として集められてるって事だよな。

 何のために?


「もっと居る。連絡を取り合えるのが今は10人程度なだけだ」

「あいにく近場に居たのはこの4人と《マジックビジョン》を作った1人の計5人だけだけどね」


 俺達以外に同じ地球人は居なかったのか。

 ちょっと残念だな。


「さて本題に入ろう。私達が君達の《陽炎の迷宮(ダンジョン)》攻略ミッションのバックアップを担当する事になった」

「私達はある程度戦う事ができるのだが、パーティランクは《A級(エーランク)》なんだ。戦いに特化した君たち地球人組がアタックするべきだろう」


 なるほどバックアップチームか。

 それはありがたいね。


「でも良いんですか? 貴方達がミッションをクリア出来なくなりますけど」

「? 良く分からないな。同じ目的の為に協力するのは合理的だと思うが」

「恐らく報酬の可能性だろう。だがミッションの報酬スキルは無かった。あるかどうかも分からない報酬の為に争い合うのは得策ではない」

「ちなみにテルト、聞いた話だとこの2人の文明の方が地球より進んでるらしいよ」


 なるほど俺の様に自称文明国じゃなくて本物の文明世界の人……異星人らしい。

 功績なんかに目が眩らまないって訳ね。

 ふーんだ、どうせ俺は競争意識の高い野蛮人ですよ。


「もしかして宇宙旅行とかできたりするくらい?」

「当然だ。植民惑星を3つほど持ってる」

「凄すぎ!」


 あら、俺が思っていた以上にこの異世界人の文明は進んでた。

 すみませんでした。


「ところでこんな物を作ったんですが、役に立ちますか」

「それは銃?」


 ププローが取り出したのは地球の物と少し形が違うけど多分拳銃だ。


「地球にもこれと同じ武器がありますか?」

「まあね……」


 アグニスは拳銃を受け取ると軽く観察した。

 やっつけで作ったんだろうか何だか安っぽい、試作品かな?


チャキッ……


 アグニスはおもむろにその拳銃を自分のこめかみに突きつける。


パンッ!


 そして引き金を引いた。


「‼」

「アグニス!」


 俺が止めようとするのも間に合わず大きな発砲音が砂漠の砂を揺らした。


「……駄目だね。レベルによるガードを破れない」


 銃弾はアグニスの頭蓋骨を貫通する事もなくが砂の上にポトッっと落ちた。

 頭蓋骨どころか皮膚にすら傷1つ無い。


「ちょっと、驚かせるなよアグニス……腕とかで良いだろ、何でわざわざこめかみなんだよ。焦っただろうが」

「悪い悪い」


 絶対に悪いと思ってないな。


「やはり《陽炎の迷宮(ダンジョン)》の魔物にも高等兵器は通用しないでしょうか」

「たぶんね……核兵器でも無理なんじゃないかなぁ」

「なら量産する意味は無さそうですね」


 核兵器でも無理ってのはふかし過ぎだろうけど。

 確かにレベル70くらいから《レベル補正(ほせい)》だけで銃弾は通じなそうだ。


 ギガントクラスは余裕でレベル70を越えてる。

 《陽炎の迷宮(ダンジョン)》の低層くらいでしか通用しない。


「さてとテルト。この後でこの住所の所に行ってくれ」

「これは何?」


 様々な段取りを終えた後、最後にアグニスが思い出したように俺に一切れの紙を渡してきた。

 そこにはどこかの住所が書かれていた。


「《マジックビジョン》を作ったオルテュス人が居る家だ。そこでカードにメール機能を拡張して貰える」


 そういえば《マジックビジョン》を作った異世界人はここには来てないんだっけ。


「メール機能⁉ そんなもの付いてたの?」

「通話まで出来れば便利なんだけどね、カードは音は出せないから」

「それでも充分だって!」


 メール機能があればいつでもアグニス達と連絡取れる様になる。

 かなり便利になるな!

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